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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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週末散歩: National Portrait Gallery

一昨日・日曜日に久しぶりに美術館へ出掛けた。

フランスへ旅行になど行くと寸暇を惜しんで美術館へ足を運ぶくせに、普段生活しているところとなった途端、週末になると「あ、今日は絶対にシューズラックを買わなきゃ(さもなくば部屋が靴で埋もれてしまうわたくし。イメルダと陰口を叩かれることもしばしば(笑)。)」とか、「仕事へ行かなきゃ(残念ながら頻繁に発生する)」、それに朝一番で行こうと思っていたのに迂闊にも寝坊してしまったなんてのを含めると、翻ってみると「無駄にしてしまった」週末は数限りない。
今週末は東京へ出張でもあるので土産物購入など帰国準備も含めて久々にゆっくり過ごした週末となった先週は、National Portrait Galleryへ。
観光メッカのお隣さんであるNational Galleryほどの華やかさはないけれど、父の大のお気に入りの同美術館は、新旧問わずまた絵画・写真ごちゃ混ぜでとにかく「ポートレート=肖像画」を集めるという面白いコンセプトの美術館。

古くはチューダー朝に始まり、最も新しいところでは最近コレクションに追加された「日の名残り」の著者であるKazuo Ishiguro氏の写真も展示されていた。
氏の「’歴史的’人物ばかりが展示されているイメージのあったNPGに自分の写真が飾られることで、却って’mortality’(人間の死ぬという宿命)について考えさせられた」とのコメントが印象的だった。

初めて知ったのだが、NPGは1856年創立とのことで今年が150歳の誕生日。
同じ1856年生まれの著名人には、心理学者のフロイトやノーベル文学賞を受賞したアイルランドの脚本家・George Bernard Shawなどがいる。

幾つか自分なりに整理してポイントを書いてみたい。

1. 異なる切り口
通常美術館に行くときは、絵画の横の説明を見るときに誰しもまず描いた画家の名前を見るだろう。
ここでは、そのルールが適用されない。
あくまでも重要なのは、「誰が描いているか」ではなく、「誰が描かれているか」なのである。
中には、ロイヤル・アカデミーの創始者であるSir Joshua Reynoldsや英国の誇る画家Thomas Gainsboroughなどが描いた人物画もあるのだけれど、ここでは画家は脇役。
スポットライトを浴びるのは被写体の方なのである。
逆転の発想というか、新鮮な気分になる。

2. 楽しい歴史のおさらい
NPGの鑑賞はSecond Floor(日本で言うところの3階)から始まるのだが、16世紀・チューダー朝から英国の歴代の王を中心に様々な人物がハイライトされていく。歴史の授業の記憶が怪しくぼやけている頭には、肩肘張ることなく英国の歴史を振り返ることが出来る恰好の場所である。
昨年短期の転勤時に訪れたときに改めて驚いたのは、英国正教会(Anglican Church)発祥の起源。これは家族への「ロンドン便り」でも書いたネタだが(ちなみにパソコン紛失でこれも全部消失。誰か保存してたら転送して下さい!)、これって言ってみればヘンリー8世が自身の離婚願望を実現させるために作った宗教じゃないか。何とまあ自分勝手な。。。
なんてことに思いを馳せていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。

3. ネルソン提督とレディ・ハミルトン
父がNPGを愛してやまない大きな理由がレディ・ハミルトンの絵にあるといっても過言ではない。
Second Floor/Room 17(‘Royalty, Celebrity and Scandal’)に当時は大スキャンダルであった恋人達のポートレートが並んで飾られる。
しかし。
あれ?
レディ・ハミルトンの方がネルソン提督より心もち下げられた位置だった筈なのに、今回はほぼ同じ高さに見受けられる。
それに、鑑賞者から向かって左がレディ・ハミルトン。右が(軍服に身を包んでいない唯一の一枚である)ネルソン提督。
こういう並び方だったっけ?
配置が微妙に移動されたのかなあ。
ひたすらに自分がボケているのかもしれないが、昨年見たときとちょっと違うような。
美術館員を捕まえて聞けばよかったのだが何となくその気にならず、腑に落ちない気分を抱えて出てきてしまった。
オルセー美術館と違って残念ながら写真撮影は許可されないので画像で説明することが出来ないのだが、父上これで良かったのでしたっけか?
昨年見たときには、確かにレディが「三歩下がった」ような位置にあったと思ったのだけれど。

4. Royal Ballet
英国が誇る「The Royal Ballet」。NPGにはFirst floor/Room31の一角にRoyal Balletの中核となった数々の人物の写真がある。
美しい精神は美しい肉体に宿る、とは良く言ったもの。
世紀のバレリーナ、Margot Fonteyn。
その美しさに思わず立ち止まってしまう。
それに、天才的振付家であったSir Frederick Ashtonの美貌に二度びっくりしてしまった。
週末散歩: National Portrait Gallery_f0023268_10292312.jpg

おまけ。
Ground Floor(1階)に現代を生きる人物の絵画や写真が集められる。
見た瞬間何となく笑いがこみ上げてしまったのがこれ→。


今よりかない若いけれど、言わずと知れたビル・ゲイツ氏である。
合成ではないだろうと思うのだけれど、肩にハツカネズミを乗せてこの飄々とした表情。
やはりオオモノだな、などと思いながら思わずポストカードを購入してしまった次第でした。
by canary-london | 2006-03-22 10:26 | diary