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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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旅のメモ・北スペイン・パート2

三点目は、Oviedoに住むスペイン人の友人と夜通し語る中で感じたごくランダムな雑感なので、「スペイン旅行記」とは程遠い。

自分のブログを振り返ると、大体「良く書くトピック」に一つのパターン性があるように思う。アウトサイダーとして英国に暮らす者として、イギリス人を揶揄するようなトピックは多く、中でもイギリス人が如何に「食」に無頓着か、というのは以前も一度ならず書いたことがある。

現地の友人と話したOviedo三点目の感想=スペインの魅力も、食にまつわるものだった。
ご存知の人も多いと思うけれど、スペインという国はとにかく食事の時間帯が遅い。
スペインが植民地としていた中南米の国もその習慣を受け継ぎ、今でも食事の時間が全体的に後ずれしている国は多いようだが、我々の感覚からすると、とにかく食のサイクルが違うのだ。

平日のサラリーマンの生活は少し違うのだろうが、スペイン人の体内時計に合わせた過ごし方となる休日ともなれば、こんな感じだろうか。
起き出すのは9時か10時。
朝食なるものは、たっぷりのコーヒーと、ビスケットや菓子パンのようなものをつまむだけ。
お昼は、決して「正午に食べる食事」ではなく、2時か3時から4時か5時頃までゆっくりと時間を掛けて、タパスなど多様な料理をしっかりと、楽しく飲みながら食べる。

夕食は、地方にもよるが9時スタートは割合早い方で、レストランには10時や11時になっても続々と人が入ってくる。
前回書いた「同じ国とは思えないほどの多様性」は、料理についても言えること。
スペインというと、イベリコ豚やパエリアやトルティーヤなど、特定のものをイメージする人も多いと思うけれど、それぞれが地の利を生かし、海に近く新鮮な魚介類が手に入るところはシーフードも強烈に美味しいし、ハム=豚のイメージが強いかもしれないが、羊も牛も食べる。
といっても、スペイン人が牛を活発に飼育し食べ始めたのは1960年代からとのことで、今でもユーロ圏内では一人当たりの牛肉消費量が最も低い国、というので驚く。アステューリアスは、そんな中でも比較的牛肉を食べる地方といえ、高速道路を走っていても、ランドマークのようなTORO=雄牛の巨像が突然現れたり、牧場で乳牛や肉牛を見かけることも多い。

牛肉はともかく、スペイン人の食生活について。
そんなことで、一日三食、朝食を除いては力いっぱいの情熱を食べることに注ぐ。
といったところで、朝食だって、ヘルス・フリークのアメリカ人が見たら腰を抜かすような高カロリーのメニューだし、おまけにスペイン人は間食も楽しむ。
ディズニーランドでお馴染みの「チュロス」は、街中の移動式キオスクの定番。
ドーナツをチョコレートにディップして食べるなんて、考えただけで太りそう・・・。

旅のメモ・北スペイン・パート2_f0023268_435363.jpg

なのに、スペイン人には意外と太った人が少ないというのが事実。
アステューリアスでは随一のビーチ、Gijonへも行ったのだが、友人Lの言うとおり、なるほど水着姿を見ても肥満体の人は非常に少数。

あれだけ遅い時間にしっかりした食事を取って、何で太らないワケ???

・・・という私の疑問に対するLの回答は、「それは食べることに興味があるからでしょ」という逆説的なもの。
肥満国家というと真っ先に思い浮かぶ米国(あれだけワークアウトに傾倒する国民なのに、データ上は国民全体の実に3割が’obese’=肥満)や、近年肥満児の増加が社会的問題になってる当地英国。

確かに、いずれの国の国民も誤解を恐れずにいえば、非常に食に無頓着である。
一言でいえば、味オンチ。
もちろん、ニューヨークやロンドンで働く一部の羽振りの良いインベストメントバンカー(‘羽振りの良い’バンカーなんて既に絶滅種ではあるが・笑)の中にはグルメを自称する人もいるが、国民全体としては、アメリカのレストランだってニューヨークなど一部の大都市を除いて出される料理は「質より量」を地でいっているし、英国の外食レベルはここ20年ほどで高くなったとはいえ言わずもがな。
飲み会の後の夜食(=日本人、というか東京在住サラリーマンで言うところのラーメン)がマクドナルドのファストフードというのが、食に対する興味のなさを物語っている。
私も昔のエントリで「公共交通機関の中で飲み食いする不思議なイギリス人」を取り上げたことがあるのだが、つまり一食一食の食事に対して重きをおかないということ。

食を愛するスペイン人・Lに言わせると、ファーストフードの多さといい、「食べることに執着がない」こと自体が肥満の大きな原因なのでは。
確かに、数年前にヒットした本「フランス女性は太らない」も、読んではいないが書評で見る限りは、「フランス女性は美味しいものだけ少量食べるので太らないんです!」という論調だったような気がする。
・・・本自体読んでいないのに僭越を承知で、当初はこんな本でベストセラーになるのなら、自分だって印税で食べていけるかも?などと苦々しく思ったのだが(笑)。
by canary-london | 2009-08-03 04:04 | travel