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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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雪とイギリス人

雪とイギリス人_f0023268_12342713.jpg先週日曜日から月曜日にかけての雪で、ロンドンのほぼ全てが立ち往生したことは前回簡単に書いた。
金曜日からは再び雪との予報を受けて皆不安におののいていたのだが、今回は気温がそんなに下がらなかったせいか、幸いにして湿り気の多いみぞれ混じりのものが空からたくさん落ちて、道や芝生に積もった数日前の雪を溶かして終わった。

先日の雪の後日談の中にも、「英国らしさ」を表すものは実に多かった。
私自身は、実は前々からの予定で月曜日一日だけ休暇を取って週末から大陸へ旅行に行っていたため、たまたま出勤の予定がなかった。(運の良いことに私のフライトは遅れたものの欠航とはならず、月曜日中に何とかロンドンに帰りつくことが出来た。)

私を除くLondonerにとっては、ごく当たり前の月曜日朝。
しかしながら、地下鉄・鉄道は殆ど壊滅状態。
郊外からロンドンに入る主要道路の多くが封鎖されたため、自動車通勤組も多いロンドンでは、車で通う人の多くがその日は通勤を諦めて自宅で仕事を余儀なくされた。中にはロンドン南西のKensingtonからCanary Wharfまで2時間掛けて徒歩で通勤したというツワモノもいたが、地下鉄組も大体が道中あまりの待ち時間の長さになす術なく踵を返してやはり自宅から仕事をすることを選んだ人が多かった。
後から聞けば、現在11人いる狭義のチームの中で、結局オフィスに来られたのは4人だけだったとのこと。


自国インフラのあまりの情けなさに、英国の各種メディアも「雪に弱い英国」「鉄道や道路の整備を急ごう」などの論調が目立ったものの、18年ぶりの大雪ということは、つまり「次は18年後?」ということになる。
銀行救済策の数々でお財布の逼迫している政府は、落雷に打たれるほどの発生確率の天候不順に備えた出費などしたくないのが正直なところ。仮に三年後に同じような天候になったとして、ロンドンという街の機能不全の度合いは全く変わらないのだろうと容易に予想できる。

インフラが改善されない元凶は、政府のlaissez-faire的なアプローチにあるとはいえ、その背後にあるのは間違いなく英国人のイイカゲン気質だ。
月曜日を取ってみても、上述のKensingtonから歩いた同僚のような少数派もいたが(ちなみに彼は北部出身のれっきとした英国人である)、個々人のイイカゲンが増幅されてカオスを引き起こしている部分は否めない。
道路は、(もちろん政府主導である必要があるが)システマティックに雪掻きや滑り止めの塩を撒く作業をすれば、封鎖されずに済む。道路が閉鎖されさえしなければ、バスなんてチェーンを巻くなりタイヤを履き換えるなどして走行すれば良いのだ。この辺りが整ってくると、鉄道や地下鉄も運転手や駅員が出勤できるため、駅の閉鎖や電車の遅れが少なくなる。公共交通機関がスムーズに流れれば、その他諸々の業界で働く人々が出勤できる。
こうして考えると、皆連鎖しているのだ。

実際、月曜日は「店員が出勤できない」という理由で多くの店が閉まっていたほか、同じく「雪で社員が帰れなくなるといけないので」ということで午後は休みとなった店や企業も多数あった模様。
後からもうひとつ聞いたこぼれ話としては、エリアもよるが、月曜日に営業していた数少ない地元のパブは空前の売上を記録したとのこと。
このあたりも実に英国人らしい。
パブ客の一部は、雪が降ろうが振るまいが5時に仕事が終われば6時からビールを傾けている輩であり、彼らが6時からではなくお昼から来たことで売上が伸びた部分もあるのだろうけれど、常連客でない人々は、「雪で会社から追い出されて、いきなり午後暇になっちゃった」「家にいても、雪のためにスーパーやピザのホームデリバリーも来ないし・・・」など、「雪で仕方なく」近所のパブに足を向けた人達もいたようだ。
真面目な日本人やドイツ人ならば、「天候不良のために」と会社から早く追い返されたとしたら、おそらく外で飲むことはせずに、何となく罪悪感を感じつつとにかく家に帰るんだろうにな、などと思って可笑しくなってしまった。
by canary-london | 2009-02-08 12:36 | culture