ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

<   2008年 11月 ( 3 )   > この月の画像一覧

のり巻と包丁と日本人

前回、「会社の中での多文化交流」について書いているときに、そういえば7月末のエントリ「続・ロンドンとチャリティー」で書いた’sushi-making class’について報告していなかったことを思い出した。
あのとき「二週間後に本番の迫った・・・」などと書いたが、この手の企画にありがちな諸々の理由での遅延が重なり、結局9月に私が旗振り役となって二度開催。そのほかシンガポール人の同僚にコーディネートを頼んだ回もあったため、現在までに三回行っている。

何のことはない、弊社のビル内にある社員食堂(社員食堂の御多分に漏れず、更にイギリスという要素も加わり正直あまり美味しいとは言い難いため、私自身は朝食のコーヒーとフルーツ以外を買うことは稀なのだが・・・)に勤める寿司職人に講師を頼み、希望する社員15人程度を集めて、のり巻と簡単な握り寿司を作る教室を開催するという企画。
この「寿司職人」、社員食堂なので給与の高い日本人ではなく、タイ人だろうか、とにかく東南アジア系と思しき小柄な男性で、なかなか茶目っ気がある。
同僚の社員食堂のシェフ達からは、’SUSHI’と呼ばれている(うーん、なんて安直なニックネームなんだ)。
集まる社員は圧倒的に欧米人が多いため、大半は、’SUSHI’は日本人だと思い込んでいたりする。・・・まあその方が説得力があって良いのかもしれないけど(笑)。

一回目はスペースに余裕があったので、私もコーディネーターの役割だけでなく「生徒」として参加。
正直「所詮は社員食堂」とあまり期待していなかったのだが、人数分の巻き簾が用意され、鉄火巻きやインサイドアウト・ロール(海苔を内側に巻き込むカリフォルニア出身の巻き方)、海老の握り寿司など、丁寧ながらもてきぱきと説明して実演していく。
生徒がそのたびに試行錯誤しながら作っていく「のり巻もどき」を何とかまともなのり巻にすべく、他のシェフと共に横から色々なアドバイスを与えてくれ、最後はプラスチックの寿司折に自分の作品を詰めてそれぞれ持ち帰れるというお土産もついており、不格好なのり巻を抱えつつも皆それなりに満足した面持ちで帰っていく。
(自分の作品の写真を撮るチャンスがなかったけれど、ただ一人の日本人の面目を一応保てる程度の見栄えのものは完成しひと安心したので、ご心配頂いた一部の友人にはここで報告しておく。)
f0023268_556945.jpg
二回目は何と定員オーバーで何名か送り返す羽目になるなど、この種のイベント企画の難しさ(幾ら言っても当日断りもなく来ない人がいるので、それも計算に入れて参加者を募るのだが、予想外に全員現れると定員オーバーになってしまうのだ)、および日本食人気を改めて感じた。先般書いた’Black History Month’に絡んで、同じ形態でカリビアン料理教室の開催を企画していた同僚は、当日3人しか現れず結局クラスをキャンセルにせざるを得なかったと嘆いていた。

安全性確保の観点から、「生徒」は包丁を握ることが許されず、使用する魚や野菜の切り身は全てシェフが用意し、それぞれに配られる。
そんな‘SUSHI’の同僚のシェフが見事な包丁さばきを見せながら、「皆さん、僕はよそ見して皆と会話しながら野菜を切っていても、指を切り落とすことがありません。それは何故かというと、左手の人差し指の関節で包丁をブロックしているからです。」と解説。
・・・オイオイ、それって料理の基本なんだけど。
「そして、必ず良く切れる包丁を使うこと。切れない包丁で無理に切ろうとすると余計な力が必要になり、事故が大惨事になります。」
・・・うん、それも小学生のとき母から聞いたから。

が、周りの「生徒」達からは、「おー」と感嘆の声が。
どうみても、私より主婦歴の長そうなオバチャンもいっぱいいるぞ。
よくよく考えると、通常のイギリス人のキッチンには、切れが悪く場所ばかり取るナイフの5本セットが置かれているだけで、そもそも「包丁」というものには馴染みが薄いのが現状。
「世界の中でも日本のホウチョウがベストです。高いものは200ポンド以上しますよ!」と畳みかけるように言うシェフ君の話に目を白黒させている同僚もいた。

海外にいると、日本人として幼少時に色々と基本的なことを教えられた経験は貴重だと思う局面が良くある。
包丁に関するこんな一幕も、「日本人でヨカッタ」と思う瞬間だった。
[PR]
by canary-london | 2008-11-18 06:06 | culture

Dame Kelly Holmes

3ヶ月ほど前に、会社の中で多文化交流を促進するボランティア的団体への参加を始めたことについて書いた。
毎週第二木曜日の午前10時から月例のミーティングがあるのだが、トレードその他で忙しいときには、正直「今日は勘弁してくれないかな」と思う。

・・・とはいいながらも、勉強になること、開眼させられることが実に多いことも確かで、敢えて新たなチャレンジをしている自分を少しだけ誇らしく思ったりもする。

先日も書いたオバマ氏の当選で、おそらくは世界的に「人種」というトピックに関する議論が再び熱くなるのではないかと予想する。
そんな世界のトレンドに先駆け(?)、件の我が団体はというと、10月を’Black History Month’と名付け、現在・過去にわたって英国で活躍する/活躍した黒人にスポットライトを当てた各種イベントを開催している。
自分にとってはそんな諸々のイベントのそれぞれ自体が新しい発見。
今月下旬には、ロンドンの観光名所の代表格であるナショナル・ギャラリーで黒人アーティストにフォーカスした勉強会が開催されるなど、日頃から知っているvenueで少し趣向の変わったイベントも数多く行われる予定である。

先月末には、英国人なら知らない人はいないであろう、2004年アテネ・オリンピックで金メダル二つ(800M走と1500M走)という快挙を成し遂げた陸上選手・Kelly Holmes氏を弊社に招き、小一時間のトークおよび質疑応答のセッションが実現した。
彼女は2005年にDameの称号も取得している。
f0023268_9283425.jpg
所謂「インテリ」ではないけれど、実力と努力、そして経験に裏打ちされた話には実に説得力がある。
話もなかなか上手い。
一度は陸上競技から離れ、18歳で入隊した英国の軍隊でまずはトラック運転手、続いてフィジカル・トレーナーを歴任するという稀有な経歴の持ち主でもある彼女がダブル・ゴールドを取得した2004年、彼女は実に34歳という高齢だった。
34歳という年齢、陸上選手としての選手生命はとうに終わっているというのが一般的な見方だろうが、彼女は持ち前のガッツと、とにかく「オリンピックで金メダルを取りたい!!」という幼少時からの夢を諦めることなく、見事に実現させた。

そんな彼女のアドバイスには参考になることが多数あった。
「常にゴールを持ち続けることが大事。ゴールは、少し背伸びしたら現実的に達成可能なものであるべき。」
「常に五年先の自分のビジョンを抱こう。」
などなど。

聴衆に回覧してくれた金メダルは、思いのほかずっしりと重かった。
彼女の直筆サインの入った新しい著書、「Black White & Gold」は宝物の一つになりそうだ。
[PR]
by canary-london | 2008-11-13 09:29 | current

政治と旬

四年に一度の米国大統領選の年は必ずやそうなるのかもしれないが、政治が「旬」だ。
今から十数年前に大学に入学するとき、同じ大学の経済学部と法学部政治学科との間で迷った挙句、数学の補習を受けるのが嫌だという至って単純且つ怠惰な理由で政治の方を選んだ。
僭越で血の気の多い若者だった自分は、(今は少し変わってきているのかもしれないけれど)当時の日本の大学というぬるま湯の環境とも相まって、政治とは何てどっちつかずの学問なのだろうという感想を初めに抱いた挙句の果てに、それを如実に映すどっちつかずな気持ちのまま四年間を無為に過ごしてしまった。

現在の金融危機のような世界的なクライシス(危機)の状況下、政治という学問の権威は復活するのかもしれない。
実は英国をはじめヨーロッパについても書きたいことは最近多いのだけれど、今日という日はやっぱり米国について書くしかないんだろうな。

第44代米国大統領として史上初めて黒人のBarack Obama氏が選出されてから、24時間も経っておらず、正に「興奮冷めやらぬ」という雰囲気。
米国人や現在米国に在住する人に比べ、私の思いの丈など比べる術もないけれど、海外在住の日本人として少しだけコメント。

本ブログにも何度も登場している私の上司兼同僚はアメリカ人の女性なのだが、まず特筆すべきは彼女の反応だろうか。
彼女は真のアメリカ人らしく、自国を良くする=世界を良くすると信じて疑わないし、参加意識も高く、当然のことながら在外投票もしている。

そんな彼女の今朝の第一声。
「通勤途中の車の中でオバマの就任演説聞きながら、思わず涙ぐんじゃった」
「正に歴史が目の前で塗り替えられてるんだなって思って」
・・・アメリカ人の中でもインテリで高所得者層ではあるけれど、生身の一般人の反応。
同じフロアに勤める別のアメリカ人のトレーダーは、オバマの就任を祝ってチームの皆にドーナツを振る舞っていた。投資銀行業界全体が青息吐息のなか、「変革」を約束するオバマに対する支持は思いのほか強い。
自分の在外投票について熱く語るそんな彼らをみながら、何とはなしに羨望の気持ちを抱いてしまった。
・・・賛否両論あれど、やっぱりアメリカ合衆国という国は、ひとたび舞台に出たら主役をさらってしまうのだもの。
自分もオバマに投票した上で、当事者としてこの会話に加わりたかったなー、という漠然とした気持ち。

二点目。
米国の選挙制度は実に複雑で正直なところ私も今回の選挙戦を経ても完全に把握していないのだが、各州の集計結果を少し奥まで掘り下げると色々なことが見えてくる。
米国の50の州の中はそれぞれが、その更に下の行政単位としてcounty(郡)を有している。
例えば、従来Democrats(民主党)の勢力が強いとされているPennsylvaniaのような州であっても、実は郡の数にするとMcCainの共和党に投票した郡の方が余程多いという結果になる。
選挙戦について、より上級者の会話になってくると、例えば「PennsylvaniaのXX郡を押さえたからObama優勢だよな」といった具合。
それぞれの郡の意味するところは部外者にはさっぱり分からないけれど、ひとつ明確に分かることは、州による多様性と州の中での多様性。
50の州のそれぞれにおいて、皆政治的に一枚岩では決してないのだ。
これだけ国の中で、さらに州の中でも多様であるがために、極論すれば外に目を向ける必要がなくなってしまうのかもしれない(これについては一年ほど前に同様のテーマで書いた)。

おまけ。
今回の最終的な米国での投票率はあと数日経たないと分からないとのことだが、下馬評によれば64-65%程度とか。
2004年の55.3%、2000年の51.3%を大幅に上回る数字となることは間違いない。
上述の私の同僚曰く、
「それでもこれだけの人が投票に行かないなんて信じられない。こっちは在外投票しているって言うのに。」。
翻って「政治学科」を卒業した自分を見ると、過去二年間で三人目となる首相を先月迎えた母国・日本の政治には海外に来てからというもの全く参加していない。
自分の中でジャパン・パッシングをしてしまっているといえばそれまでなのだけれど、国民の義務とは何ぞや?と真剣に悩んでしまった。
明日にでも在外投票の登録をしてみようか。
[PR]
by canary-london | 2008-11-06 09:39 | current