ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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大変ご無沙汰してしまいました。一応生きてます。

先週末の24/25日は「超」がつくほどの強行スケジュールでウィーンツアーを決行。ウィーンでの正味滞在時間が21時間弱という元々の無理なスケジューリングに加え、運悪く同週末から英国を含むヨーロッパ全土でサマータイムがスタート。夏時間のシステム自体は私は手放しで支持するけれど、始まるときには一時間「損」をする計算になる。
そんな無理をしてまで行った理由は幾つかあったのだが、結果的には実に幸せな正味20時間だった。

1.  Thielemann/WPO/Musikverein
ウィーン・フィル(WPO)はロンドンでも年数回公演を行うが、本拠地での定期公演は海外ツアーの際のクオリティーに比較すると段違いというのが定説。
チケット入手が恐ろしく困難であるため、これまで挑戦したことがなかったが、玄人の間で絶大な評価を受けているThielemannの指揮するブルックナー8番は何とも魅力的なプログラム。
超人気プログラムのために幾ら待てどもキャンセルのチケットが出てくることはなく、結局チケットが入手出来る保証もないままイチかバチかで飛行機に飛び乗ることに。

初めて訪れるMusikverein(学友協会)ノ前でそぼ降る雨の中、’Suche Karte’(「チケット譲って下さい」)という札を、道頓堀のくいだおれ人形よろしく首から下げて立つ羽目になった。
しかし思いが強いと願いは叶うものなのか、見知らぬ日本人の親切にも助けられ、’PODIUM’というステージ上のオーケストラの後ろの席を安価で譲って頂くことが出来た。
PODIUM席は、ティンパニとコントラバスの真後ろに当たるためにオーケストラ全体の音は聴こえないのだが、臨場感という意味ではこれ以上の席はない。
それに加え、指揮者が常に自分の方を見ているので、あたかも団員の一人になったかのような、素晴らしく贅沢な錯覚に襲われる。
壮大なるブルックナーのシンフォニー8番の演奏は、秀逸。
ロンドンで聴くときと比べて、オーケストラの緊張感が違う。弦の鳴り方が違う。
WPOのメンバーにとっては、ホームグラウンドでの試合なので、皆予測可能な世界の中で、心地良いゆとりと遊び心をもって臨んでいる。

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2.  Freunde der Klavierkunst
コンサートとオペラをハシゴしてから、夜は今回案内して下さった方のつてで何とも魅力的な宿に泊めて頂いた。
宿といっても、個人の家。
日本人ピアニストとしてウィーンで活躍されているMidori Ortner氏のお宅である。
ウィーン中心部ではなく、生前Johaness Brahmsも暮らした「ブラームスの森」の一角。
土曜日は丁度みどりさんが運営するFreunde der Klavierkunstの拠点も兼ねたご自宅でのリサイタルの日。我々が到着したのは夜も23時をまわっていたが、夕方のリサイタルの後、食事とワインを楽しむ聴衆兼友人のオーストリア人数名がまだ歓談中だった。
残念ながら今日はリサイタルの方にはジョインできなかったものの、耳の肥えたオーストリア人のおじさま・おばさまを唸らせる実力と、溢れるホスピタリティー。

実に興味深かったのは、みどりさんの旦那様であるピアノ職人の試作の数々。
グランドピアノが25台あるということ自体既に個人の家ではなく、ピアノ博物館状態となっているわけだが、中でも一台風変わりなピアノが。
形が、普通のピアノと逆に低音部分の奥行きが短く、高音になるにつれてこれが長い。
「??」と問うと、「こういう形も面白いかと思って斜めに弦を張ってみた」との回答。
うーむ、アーティストやプロの職人の考えることはよーわからん。

しかしながら、このFreunde der Klavierkunst。
元々は、みどり氏がウィーンに移り住んだときから構想し、50人を超える聴衆の集まるコンサートを年8回程度のペースで催すために素敵なご自宅を根本的に改造。会員には非常に良心的な会費でこれら全てを提供するため、経営はなかなか難しい模様。
同じ日本人として、女性として、そして音楽を愛する者として、そんなみどりさんの生き方にはただただ脱帽であった。
そうこうしている間に夜は更け、早朝のフライトでロンドンに戻る友人と私の睡眠時間は気づいたら優に三時間を切っているではないか。

無理なスケジュールがたたってか、帰国後軽い風邪を引くというおまけが着いたけれど、何ともworthwhileな20時間。
こういう時間は、心を豊かにしてくれる一生の宝物なのだ。
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by canary-london | 2007-03-30 09:26 | travel
公私に渡って何かと忙しく、すっかり更新が滞ってしまった。
気の向くままゆるりと書いている先月の「旅のメモ」から少し逸脱して、今日は今週一泊の出張でスイスのバーゼルを訪問したことについて。

バーゼルという街に降り立ったのは生まれて初めてのことだったのだが、機体を降りて預入荷物を引き取り、出口に向かおうとするところではたと戸惑う。
右に行けば、バーゼルのある国・スイスへの出口。
一方で左に行けば、ドイツもしくはフランスとの標識。
スイスはEUに属していないので、どちらへ行くかによって入国審査も異なるのだ。

欧州に暮らすと折に触れて感じることだけれど、地図上にテキトウに線を引くだけでも出来そうな国民国家というものの国境線とは一体何なのだろうか、と考えさせられる瞬間。
実際にスイスという国は、オランダ等と並んで所謂「マルチ・リンガル」が全国民の基本となっている国である。
ドイツ語圏・フランス語圏のスイスのほか、南へ行けばイタリア語圏のスイスが位置し、大体において各「地方」で使われる言葉については流暢に喋るまでいかないまでも、相手の言うことは解することの出来る人が殆どとなる。

そんなスイスという国のインターナショナルな色彩に思いを馳せるのも良いが、今回スイスで会ったのはスイスと縁もゆかりもない、北欧の発行体(資金調達主体)4社。
業界の事情通には分かるかもしれないけれど、政府機関として果たす役割も近いため、それこそ国境を越えて投資家IR等の活動を合同して行うことに力を入れている4つの機関である。

自分だけかもしれないのだが、北欧の国々というのはどうも旅行の計画を練る度に「いつか行こう」と思いつつも、気付くと再びリストの下の方に追いやっていることの多い地域である。
過去数え切れないほどの欧州旅行をしているにもかかわらず、スカンジナビアも、デンマークも、はたまたアイスランドも訪れたことが一度もない。

無知ゆえ、「北欧の国々」というのはどうも十把ひとからげにしがちである。

今回4ヶ国の人々と同時に会ってワイングラスを傾けながらゆっくりと話す機会など初めて。
上で述べたことと若干矛盾するのだけれど、やっぱり「国家」によって随分と言語・人間性・文化が違うものなのだと改めて感心。

自分にとって新鮮だったエピソードを三つほど紹介すると・・・。
1. 国民性・カルチャー
英国に暮らしていると、イタリア人の国民性やフランス人の国民性はある程度分かった気になるものだが、北欧諸国。寒い冬だし夜は長いし、日本の雪国のように寡黙な人が多いのかしらんと漠然と地域全体についてのイメージを抱いていたのだが、これは大きな間違いであることが発覚。
いわく、ノルウェー・スウェーデン・フィンランドのスカンジナビア三国にデンマークを加えた今回の面々の中で、スウェーデンがやや異色の国民性らしい。
スウェーデン人は他の三国出身者と異なり、とにかく堅物・真面目。
ジョークなど飛ばすのだけれど、何となく笑いがぎこちない。
これは北欧では常識的な「地方ネタ」らしく、そんな真面目なスウェーデン人を皮肉って描いたコマーシャルなどもあるらしい。

2. 言語について
言語についても興味深い豆知識。
ここでは「仲間外れ」となるのはフィンランド人。
スウェーデン人とノルウェー人とデンマーク人が会話した場合、ゆっくり話せば相手の言っていることはほぼ全て分かるらしい。
ま、方言程度の違いなのか。
一方でフィンランド語というのはハンガリー語にルーツがあるらしく、他の3言語と全く成り立ちもグラマーも異なるとのこと。
私は仕事でアイスランド人と話すことが時々あるのだが、文字までアルファベットに存在しない象形文字(!)的なもののあるアイスランド語はどういう位置づけになるのだろうか。

3. 挨拶のキス
周知の通り、欧米では挨拶時のキスは当たり前である。
明確なルールがあるわけではないが、ここ英国では、プライベートの場では初対面同士もキスを交わし、ビジネスの場合は初対面は握手で二度目以降キスに変わるケースがスタンダードとなっているように感じる。
(但し男性同士の場合はやらないのでご注意を。女性対男性または女性対女性の場合のみキスが交わされるのが普通。)

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大陸に何度か足を運ぶうちに、キスの慣習も国によって結構違うものだということには気付いていた。例えば、英国では大体左右の両頬に一度ずつの計二回がお決まりのパターンだが、オランダなどへ行くとスタンダードは三回に増えるなど親密度がアップ。
今回の北欧4ヶ国の中では、デンマーク人に挨拶のキスという習慣がないと教えられて驚いた。非常に人なつこい国民性の人々ながら、挨拶時の基本はキスではなくハグ。
まあ見方によってはハグの方が親密なのか?

余談ながら、挨拶のキスをする際にルールがなくて最も困ってしまうのが、左と右のどちらに最初にキスするか、というくだらない点だったりする。
相手と同じ側に突進して衝突しそうになどなったら、友人ならご愛嬌で済むけれど、ビジネスの場ではたまらない。
そんなわけで、勢い相手の出方を伺ってからキスに移ることになるのである。

ちなみに、私は「左から」派である。
貴方はどっちですか??
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by canary-london | 2007-03-10 08:45 | culture