ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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カテゴリ:social entrepreneur( 4 )

Choose What You Read

ビッグ・イシュー
敢えてここでご紹介するまでもない雑誌だろう。
ホームレスに仕事と収入を与える目的で1991年にGordon Roddick氏とA. John Bird氏が創設したこの雑誌に対する関心は私の周囲でもかねてから高く、身近でもこんな人こんな人が過去にブログで取り上げている。
Roddick氏は、これまた説明の必要は少ないであろうボディ・ショップの創設者で2007年に早過ぎる死を迎えたAnita Roddick氏の夫。一方のA. John Bird氏は、自身が5歳から20代後半まで人生の様々なステージにおいて(望むと望まざるとに拘らず)ホームレスとして路上生活を体験した人物なので、スゴミと説得力が違う。

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日本では300円で販売し、そのうちの150円がホームレスの収入に充てられるとのこと。
ロンドンでは1.50ポンドで販売しており、うち80ペンスがホームレスの収入にまわるので、為替の変動はおくと相場は似たようなもの(ご多分に洩れず昨今のポンド安でイギリスの方が安い)。

私自身、これまでかなり長い期間この雑誌の存在を知りながら、恥ずかしいことに実際に購入したことがなかった。


オフィスからの帰り道。
今日は事情により退社時刻が早く、自宅最寄の地下鉄Angel駅を降りたのは6時前だっただろうか。日照時間がどんどん伸びて、一年でもっとも素敵な季節を迎えつつあるこの時期のロンドンの爽やかな青空も手伝ったのかもしれない。

いつも何となく素通りしてしまっていたビッグ・イシューの販売員のホームレス男性に近づき、
「一冊もらえる?」
と話しかけたら、ぼさぼさの長髪ながら不思議と不潔感は感じられないその中年男性は、満面の笑顔を浮かべて
「ホント?お陰様で今日の夜のメシにありつけるよ!」
と実に嬉しそうに言うのだ。
「まさか私が貴方の今日の最初のお客さんってわけじゃないでしょう?こんなにお天気も良いのに。」
と会話を続けたら、
「三人目。午前中に二冊売れたけど、午後はアンタが初めてさ。」

小銭がなかったこともあって、1.50ポンドの倍の3ポンドを支払って去ろうとしたら、
‘(You are a )...diamond. Thank you. God bless.’
なんて、こちらが赤面するような感謝の言葉を背中に投げかけられる。
・・・こんなセリフ、仕事でもっと余程感謝されるような働きをしたときですら、言われた試しがない(笑)。
愛嬌のある、実に気持のよいミスター・ホームレスなのだ。

どうしてもっと早く買ってみなかったんだろう?という気持ちと共に自宅に戻り、雑誌を開くと、そんなに「社会的」な内容でもなく、読み物としてごく普通に楽しめる。時事・政治ネタもあれば、文化・音楽、お料理レシピ(これはちょっとガテン系(←死語?)という印象だったが・笑)、そして忘れてならないのが社会起業家的な切り口の記事。
今回は、セレブシェフJamie Oliverの経営するFifteen Foundationを含む二社の活動が紹介されていた。

ふと、先日FT magazineで読んで本当に共感したClaire Wilson氏の記事を思い出した。
‘Choose What You Read’
毎日街中に溢れている無料配布のフリーペーパーに以前から疑問を感じていた彼女は、ある日友人と二人で、ボランティアで集めた書物の無料配布を行う団体を立ち上げた。
考えてみれば、東京でも「メトロ文庫」の歴史は古いと思うので、コンセプトとしては決して新しいものではないが、フリーペーパーに異議を唱える彼女の考え方には100%賛同する。
私もフリーペーパーが大嫌いだ。
セレブの生活にも、少年犯罪のリアルな描写にも興味がない。
フットボールの結果をチェックするのには便利ではあるけれど。

―Choose What You Read。
益々情報が氾濫する現代、我々には読むものを選ぶ権利がある。
今後は、ビッグ・イシューを進んで読もうと思う。
今日のような、ささやかな幸福感を味わうためにも。
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by canary-london | 2009-04-22 11:09 | social entrepreneur
ブログの執筆というのは実に身勝手なもので、ページの左側に並ぶ「テーマ」の中で、自分の書きやすいものばかり記事数が増えていくものである。
自分自身に関していえば、「culture」や「diary」などが圧倒的に多い。
「travel」ももっと多くて然るべきなのだが、ものぐさなので旅行記もサボっているものがかなりの数に上る。
ひっそりとした佇まいの「social entrepreneur」という項目には、何と情けないことに、昨年5月以来一度も触れていなかった。

「social entrepreneur」=「社会起業家」は、数年前から非常に興味を持っている分野なのだが、旬なトピックだけに深く研究されている方が多い中で自分はあまりに不勉強なので、何か書こうと思うとついつい論文でも書くような心持ちになりついつい先送りにしてきた、というのが正直なところ。
しかし、先週のAnita Roddick(アニタ・ロディック)氏死去のニュースは、そんな稚拙な悩みを断ち切るのに良いきっかけだと感じ、実に久し振りにこのテーマで筆を取ってみることにした。
(よくよく見たら、昨年5月の記事には「・・・・社会起業家論への挑戦その1」なんて題名を付けていた。続編のない「その1」って一体・・・・。)

「Dame」の称号も与えられたRoddick氏が64歳という比較的若い年齢で亡くなられたことは、英国のメディアでは再三取り上げられたので、英国在住の方には説明不要かと思うが、言わずと知れた「Body Shop」の創設者。動物実験反対をはじめ、企業がいかにして、「社会に対して良いこと」をしていけるのか、という観点を最初に持ち込んだ人の一人といえる。
今では日本も含め世界中に展開するBody Shopの起源は、彼女が1976年に英国南部の小さなリゾートの街、Brightonで立ち上げた、天然の原料に特化した小さなスキンケア用品の店である。
主張が強く、大企業幹部とは意見の対立も多かったため、追悼記事は必ずしも好意的なものばかりではなかったが、Roddick氏が英国のみならず、全世界のビジネスのあり方に多大なる影響を及ぼしたことは間違いない。

私のようなシロウトにとって非常に参考になる「社会起業家」の著者、斎藤槙氏によれば、概念自体の基礎となる「social enterprise=社会事業」というコンセプトのアカデミックな定義は、スタンフォード大学教授のGregory Dees教授の文章に詳しい。
簡単に言うと、「営利と非営利の中間」ということか。

二つのことについて、ランダムに簡単に書いてみようと思う。
_______________

一つは、社会事業を行う形態について。
斎藤氏は、著書の中で「NPO化する企業」と「企業化するNPO」の両方について取り上げているが、これから先の世界を考えるに、やはり基本となるのは前者の形ではないかと思う。
米国のコモングラウンドなど後者の成功例もあるものの、「社会に対して良いこと」は、基本的に無償の活動でやっていくのには限界がある。
日本ではどうも、この手の活動は、「オバサマ達が手弁当で行うもの」、「金儲けなんて敵だ」的な考え方が根底にあるような気がするのだが、社会に対して意味のある活動をしていくためには、最も重要なものがある。
それは、資金。
別に金融に携わっている人間でなくても、そんなことは分かる。
資金調達手段も、税制も、社会事業にとってはこの上なく重要なのである。

その意味では、現在「ベンチャー・フィランソロピー」と呼ばれるような考え方は、実に力強い。
ビル・ゲイツのファンドがその最たる例といえるが、即ちこのような活動に対して資金を提供することは、「寄付」ではなくて、あくまで「投資」である、という考え方。
ゲイツ氏についても、ウォーレン・バフェット氏についても、またU2のボーカル・BONOについても、批判的な人は山ほどいるが、基本的な姿勢には私は大賛成である。

もちろん、彼らのようなスケールで出来る筈もないのだが、「金の亡者」と呼ばれる投資銀行業界に身を置くものとしては、やはりいずれは、何か彼らのようなことが出来ないかと考える。
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もう一つは、社会起業家を取り巻く多数のトピックと、自分の生活との関連付けについて。
Roddick氏とは少し角度が異なるが、やはり女性でこの分野で多大なる影響力を持つのが、SAI(Social Accountability International)創立者兼CEOのAlice Tepper Marlin(アリス・テッパー・マーリン)氏である。
実は、Tack氏に薦められ、二年ほど前に日本で彼女のセミナーに参加したことがある。
私が「社会起業家」という概念に真剣に興味を持つきっかけとなったのが彼女のセミナーだったわけだが、その影響が大きいのだろう。Marlin氏およびSAIの専門分野となる、労働者の人権と企業・消費者というトピックには、とりわけ興味が高い。
児童労働や搾取労働、低賃金・長時間労働などを企業が行っていないかどうかのモニタリング。
行っている企業の製品は、消費者として購入をボイコットする。
世界的な潮流でいえば、1990年代に主流となった考え方であり、ナイキ製品の非買運動に繋がった。
特に、児童労働については、ビル&メリンダ・ゲイツ・ファンデーションの3つの主要な分野である、「①保健衛生、②教育、③図書館」とも共通する。
つまり、子供を労働力として使うのではなく、きちんとした教育を受けさせることが如何に重要かということ。
「社会に対して良いこと」は、「これからの社会を良くしていくこと」にほかならないのだから。

この点については、「自分の生活との関連付け」が、実は一番難しいのかもしれない。
自分は労働者であると同時に、壮大なる一消費者でもある。
パンプスを一足買うたびに、「この企業の東南アジアの工場では児童労働が行われていやしないだろうか?」といったことが頭をよぎらないではないももの、その答えを知らないからといって(そして大概の場合は答えを知らない)、パンプスの魅力に負けて結局買ってしまうのだから。
・・・まずは自分がこの姿勢を変えなきゃならないのだろうなあ。

「社会事業」「社会起業」の概念の実行への道のりは、長く険しい・・・・・。
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by canary-london | 2007-09-22 03:33 | social entrepreneur
「Social Entrepreneur=社会起業家」という分野は、エコノミック・アニマルとも揶揄される投資銀行で働く自分にとっては全くもって専門外であるほか、Tack様はじめとして周囲にこの分野を専門とされる方が多数いらっしゃるため、自分でコメントするのも僭越と思ってこれまで何となく控えていたけれど、自分でも非常に興味のあるこのコンセプトを一人でも多くの人に紹介できればとの思いから、思い切ってチャレンジしてみることに。
(といっても、冒頭断っている通り、あくまでも「私なりに」咀嚼した私的社会起業家論ですので悪しからずご了承下さい。)

カタチから入ってしまうのだけれど、まずは社会起業家というコンセプトの成り立ちについて少々。

CSR(企業の社会的責任)とかSRI(社会責任投資)とか。
最近これらの言葉を耳にすることが異様に増えたけれど、「Social Entrepreneur」(のコンセプト自体は、そもそもは1997年に発足した(そして今正に崖っぷちに立たされている)英ブレア政権の政策ブレーンであったアンソニー・ギデンズ(Anthony Giddens)がその著書の中で使用したのが最初といわれている。

現在自分が英国に暮らすこともあり、今は昔で英国の現代史を簡単におさらいすると、1960-70年代の英国は「揺りかごから墓場まで」と揶揄された高福祉社会であった。莫大なる支出に1973年のオイル・ショックが追い討ちを掛け、1970年代半ばから後半にかけて英国の国家財政は事実上ほぼ破綻状態に(「英国病」蔓延)。
1979年に財政再建を至上命題として登場したサッチャー政権は、福祉政策のスリム化と国家事業の民営化を通じた経済再建を徹底して推し進める一方、この過程で社会的弱者の切り捨てという社会問題も生むことに。
(蛇足ながら、同時代の米国もレーガン政権の下で「小さな政府」を標榜して国家財政のスリム化を推し進め、背景は異なりながら結果的には英米の両方でこのニッチを埋めるべくNPO発展の土壌が形成された経緯がある。)

サッチャー時代を経て1997年に登場したブレア政権は、このような状況下、英国の進むべき道として「第三の道」を提唱。「第三」とはすなわち、社会主義とも市場経済とも異なる新たなる道との意味合いで、言うなれば「近代化された社会民主主義」ということになる。
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この「第三の道」の主要なテーマは、マリリン・ハワード氏を引用すると以下の3つ:
1. 社会的目標と経済的目標は相補的なものであり、収入のみならず仕事や教育などの機会の再配分が必要
社会的排除の防止・治癒は経済的目標の充足にも繋がり、民間企業にとっては企業としての社会的責任を果たすことにもなる。
2. 権利に加えて責任も ~ works both ways
社会は困窮している人々を助ける責任を持ち、また個人は自立の責任を持つ。生活保護を受けずに自ら職を得ることは、最高の自立の手段である。
3. 地域社会(コミュニティー)
市民参加の基礎となる知識を提供できる最大のフォーラムは市民社会である。

いってみれば、上記の三つのテーマを体現するための具体的な方策が、Social Entrepreneurshipというところだろうか。

「はじめの一歩」のうち半歩すら踏み出していない感じだけれど、やや重いテーマで普段の私のおちゃらけエントリに慣れている読者の方も疲れると思う (自分の寝る時間がなくなるというより切実な問題がある。人のせいにするなんて我ながら勝手・・・) ので、今回はここらで小休止して、実際のSocial Entrepreneurについては次回以降持ち越しです・・・・・。
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by canary-london | 2006-05-23 09:53 | social entrepreneur
明けましておめでとうございます!!
といっても、日本に遅れること9時間のロンドンではまだ大晦日の夜。
2005年は、日本で始まりロンドンで終わりを迎える私にとってはフツウより9時間長い年となりました。
大晦日って、世界中の時差というものを最も実感をもって感じる日ですよね。
昔両親がシドニーに住んでいた頃、ある年はシドニーハーバーに浮かぶヨットから、またある年はオフィスの高層ビルからそれぞれシドニーハーバーの華やかな花火を眺め、f0023268_7585174.jpg国のサイズに負けないスケールに圧倒された覚えがありますが、今年もいち早く2006年を迎えたシドニーでは大規模な催しがあった模様。今回の本文とは全く関係ないけど季節モノなので写真のせてみます。。。


日本に一時帰国している間すっかり更新をさぼってしまいました。
25日から数日間だけ日本に一時帰国しましたが(文字通りとんぼ返りで、仕事と荷造りと役所巡り以外をした記憶がない・・・)、やっぱり東京の生活リズムはロンドンと大きく違います。

それについては次回書くことにし、今回は時の話題を一つ。
年末はメディアでは「2005年を振り返る」的な特集が多い時期ですが、今年のTIMEマガジンの’Persons of the Year’は、U2のBonoそしてビル・ゲイツ夫妻。テーマはお分かりの通り、貧困や病気といった発展途上国の問題に積極的に取り組んだ人々というもの。ホワイトバンドの流行といい、2005年は世界の貧困問題が草の根レベルまで浸透した年となりましたね。
Bonoは以前から同問題に果敢に挑み、ブッシュ米大統領をはじめとする各国政府高官に途上国向け債務削減の働きかけを行ったり、Live Eightなど彼の本業である音楽を通じたチャリティー活動にも精力的に取り組んでいる人であることは何となくは知っていたものの、記事を読んで改めてその真剣な姿勢と恐るべき行動力に脱帽。
また、やはり重要と思われるのは、豊富な資金力を持っていること。「世界を動かせる人は誰か?」という観点から、Bonoが2002年にゲイツ夫妻に面会を申し込んだエピソードも紹介されていた。
ちなみに、BonoとBill Gatesが共同で創立した組織「DATA」(Debt, AIDS, Trade in Africaの略)へのリンクはコチラです。

私は以前から漠然と、また最近ではどっぷりとSocial Entrepreneurの道をひた走る父の影響も受け、資本主義の権化のような現在の仕事からいつか足を洗って「人のためになる仕事」をしたいなあと思っているが、何しろおカネがなければ何もできない。人助けをしたいと思っても、特に我々どシロウトが個人レベルで出来ることなんて限られているわけなので、やっぱり思ったことを行動に移すためには資金が必要だと改めて感じた次第でした。

Bono頑張れ!
私はおそらく、とりあえず「個人レベルでできること」から始めるんだろうなあ。
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by canary-london | 2006-01-01 08:07 | social entrepreneur