ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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のり巻と包丁と日本人

前回、「会社の中での多文化交流」について書いているときに、そういえば7月末のエントリ「続・ロンドンとチャリティー」で書いた’sushi-making class’について報告していなかったことを思い出した。
あのとき「二週間後に本番の迫った・・・」などと書いたが、この手の企画にありがちな諸々の理由での遅延が重なり、結局9月に私が旗振り役となって二度開催。そのほかシンガポール人の同僚にコーディネートを頼んだ回もあったため、現在までに三回行っている。

何のことはない、弊社のビル内にある社員食堂(社員食堂の御多分に漏れず、更にイギリスという要素も加わり正直あまり美味しいとは言い難いため、私自身は朝食のコーヒーとフルーツ以外を買うことは稀なのだが・・・)に勤める寿司職人に講師を頼み、希望する社員15人程度を集めて、のり巻と簡単な握り寿司を作る教室を開催するという企画。
この「寿司職人」、社員食堂なので給与の高い日本人ではなく、タイ人だろうか、とにかく東南アジア系と思しき小柄な男性で、なかなか茶目っ気がある。
同僚の社員食堂のシェフ達からは、’SUSHI’と呼ばれている(うーん、なんて安直なニックネームなんだ)。
集まる社員は圧倒的に欧米人が多いため、大半は、’SUSHI’は日本人だと思い込んでいたりする。・・・まあその方が説得力があって良いのかもしれないけど(笑)。

一回目はスペースに余裕があったので、私もコーディネーターの役割だけでなく「生徒」として参加。
正直「所詮は社員食堂」とあまり期待していなかったのだが、人数分の巻き簾が用意され、鉄火巻きやインサイドアウト・ロール(海苔を内側に巻き込むカリフォルニア出身の巻き方)、海老の握り寿司など、丁寧ながらもてきぱきと説明して実演していく。
生徒がそのたびに試行錯誤しながら作っていく「のり巻もどき」を何とかまともなのり巻にすべく、他のシェフと共に横から色々なアドバイスを与えてくれ、最後はプラスチックの寿司折に自分の作品を詰めてそれぞれ持ち帰れるというお土産もついており、不格好なのり巻を抱えつつも皆それなりに満足した面持ちで帰っていく。
(自分の作品の写真を撮るチャンスがなかったけれど、ただ一人の日本人の面目を一応保てる程度の見栄えのものは完成しひと安心したので、ご心配頂いた一部の友人にはここで報告しておく。)
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二回目は何と定員オーバーで何名か送り返す羽目になるなど、この種のイベント企画の難しさ(幾ら言っても当日断りもなく来ない人がいるので、それも計算に入れて参加者を募るのだが、予想外に全員現れると定員オーバーになってしまうのだ)、および日本食人気を改めて感じた。先般書いた’Black History Month’に絡んで、同じ形態でカリビアン料理教室の開催を企画していた同僚は、当日3人しか現れず結局クラスをキャンセルにせざるを得なかったと嘆いていた。

安全性確保の観点から、「生徒」は包丁を握ることが許されず、使用する魚や野菜の切り身は全てシェフが用意し、それぞれに配られる。
そんな‘SUSHI’の同僚のシェフが見事な包丁さばきを見せながら、「皆さん、僕はよそ見して皆と会話しながら野菜を切っていても、指を切り落とすことがありません。それは何故かというと、左手の人差し指の関節で包丁をブロックしているからです。」と解説。
・・・オイオイ、それって料理の基本なんだけど。
「そして、必ず良く切れる包丁を使うこと。切れない包丁で無理に切ろうとすると余計な力が必要になり、事故が大惨事になります。」
・・・うん、それも小学生のとき母から聞いたから。

が、周りの「生徒」達からは、「おー」と感嘆の声が。
どうみても、私より主婦歴の長そうなオバチャンもいっぱいいるぞ。
よくよく考えると、通常のイギリス人のキッチンには、切れが悪く場所ばかり取るナイフの5本セットが置かれているだけで、そもそも「包丁」というものには馴染みが薄いのが現状。
「世界の中でも日本のホウチョウがベストです。高いものは200ポンド以上しますよ!」と畳みかけるように言うシェフ君の話に目を白黒させている同僚もいた。

海外にいると、日本人として幼少時に色々と基本的なことを教えられた経験は貴重だと思う局面が良くある。
包丁に関するこんな一幕も、「日本人でヨカッタ」と思う瞬間だった。
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by canary-london | 2008-11-18 06:06 | culture