ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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タクシードライバーと一期一会

タクシーの運転手は選べない。
手を挙げて車が滑り込んできた後に、運ちゃんの人相を見て
「うーん、これは失敗かも」
と思うことはあるが、時既に遅し。
乗客からの「逆乗車拒否」をするのも何なので、そのまま乗り込む。

これが結果的に、人相通り非常にうっとうしい運転手だったり、はたまた意外に楽しい運転手だったりするのでやめられない。
何ともスリリングである。
別に私は、日々新たなタクシー運転手との出会いを求めてタクシーに乗るわけではなく(だとしたら新手のストーカーだ)、基本的には早く目的地に着きたいから乗るのだけれど、運転手の良し悪しでその日一日の気分が左右されたりもする。
*念のため断わっておくが、私は狂乱物価のロンドンで毎日タクシーに乗るようなブルジョワ階級ではない。仕事で使う時を除けば時々やむを得ず乗るだけである。

自分のことをふと考えてみると、このようなメンタリティーになったのは最近のことかもしれない。正確に言うと渡英してから。
東京で「24時間働けますか」サラリーマンを地でいっていた頃は、タクシーに乗っても束の間の休憩時間とあって知らず瞼を閉じてしまう。
運転手の人柄なんか構っちゃいられない。
・・・もっとも、2001年12月には、仕事帰りにタクシーの中でうとうとしていたら、表参道の交差点を過ぎた辺りで私を乗せたタクシーが転回してきた別のタクシーに突っ込み、5週間松葉杖生活に陥ったので、乗客の安全という観点からは、寝る=必ずしも良いことではないのかもしれないが。

近年は、自分にもタクシー運転手の人間観察をしたり、会話を楽しんだり、相手の話を聞いたりといった余裕が出てきたということなのかもしれない。

先日事情により極端に急いでおり、会社帰りにCanary WharfのオフィスからIslingtonの自宅までタクシーに飛び乗った。
このときの運転手が、「当たり」。
肩肘張っておらず、会話も押し付けがましいのではなく、こちらの反応を見ながら話題を作っていく。髪の毛の心もとないオジサンで、お世辞にも器量が良いとはいえないが、なかなか良い笑顔で笑う。
ロンドンの名物、ブラックキャブのドライバーには、概して自分の仕事に誇りを持っている人が多いように感じる。
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私の場合、自分の英語の発音が独特なので(9割方アメリカ英語だが、残りの1割がアジア人とイギリス人の妙なブレンドといったところか)、大抵の場合、まず「オマエはどこ出身だ?」から話が始まる。
別に私の話を一方的に聞くのではなく、運転手自身の家族のことや住宅価格のことなど、とりとめのない話が進んでいく。

その彼の話の中で、こんなことが印象に残った。
曰く、乗客の中で、打ち明け話や身の上話をする人が非常に多いとのこと。
聞けば、恋愛や結婚の相談、金銭や家族にまつわる悩み事まで、タクシー運転手というのはありとあらゆる個人の悩み相談室らしい。
「相談」というよりも、一方的に思いのたけを話して降りていく乗客が多いようではあるけれど。

ふーむ、なるほど。
その後この運転手とも話したのだけれど、乗客としては、縁もしがらみもなく、且つ二度遭遇するリスクの低いタクシー運転手というのは、そういったプライベートな話をするのにうってつけなのかもしれない。
話をする側のメンタリティーは、きっと「旅の恥は掻き捨て」か「一期一会」のどちらかなのだろう(笑)。

しかし街中で再度遭遇することが万が一あったとしたら、どう考えても圧倒的に運転手の方が有利な筈。なぜなら、我々は結局運転手の後頭部とバックミラーに映るサングラスに覆われた顔しか見ていないのだから。
・・・なんて思うと、小心者の私は、タクシー運転手にうかうか身の上話なんて出来ないのである。
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by canary-london | 2008-07-01 08:18 | diary