ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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言語に対する軽い考察その4-日本語と英語についてまだまだ書きます!

違う仕事をしている人には俄かに想像しにくいことかもしれないけれど、私の仕事は本業の金融もさることながら、平たくいえばコミュニケーション命の仕事である。
大局的には、「お金を必要としている人」(発行体=政府・政府機関・企業・銀行等)と「お金を出したい人」(投資家)を結びつけるのが私の仕事となるわけなのだが、日々のミクロの世界では、これは主として社内の「お金を必要としている人」に直接もしくは社内のDCM(Debt Capital Markets=資本市場部)と呼ばれる人々を通じて話すと同時に、「お金を出したい人」に直接もしくは社内のセールスと呼ばれる人々を通じて話をし、双方のニーズがマッチした際にはめでたくディール成立に至ることになる。
(実際にはこれにデリバティブをくっつけたりもろもろの作業が追加されるが、詳細は割愛。)

いきおい、一日の大半の時間がメールを書くもしくは電話で話すという作業に充てられることになる。

もちろん重要なトピックのときには電話に頼るものの、スピード重視のときにやはり重宝するのはメール。
以前にX1Blackberryといったトピックでも何度も書いているが、メールがなければ一日始まらない。
明けても暮れてもBlackberryで会社のメールをチェックしているのはやや寂しいが、仕事と性分なので仕方がない。

メールを書くという作業においても、日本語と英語という言語の差を日々感じる。
仕事柄大部分のメールは英語なのだが、東京オフィスや日本人の友人とやりとりする際には日本語に切り替え。

そういったときにどうしても感じざるを得ないのは、「日本語でのタイプは時間がかかる」ということ。
思考プロセス自体に要する時間があまり変わらないとすると、26文字のアルファベットに集約される英語で打つ方が何倍も速い。
これは別に自分がバイリンガルであるなどと言おうとしているわけではなく、目上の人への手紙ならともかくとして、要件を伝えることが第一義的な目的である仕事のメールにおいては、丁寧であることはさほど要求されないので思考プロセス自体が短縮される。
これに加え、英語では比較的フォーマルな言い回しとカジュアルな言い回しの差はあれど、日本語のように敬語や謙譲語などの使い分けも要求されないので、気取った文章を書こうとするのでない限り、頭に浮かんだ言葉をそのまま連ねていけば大体においてそれで事足りるのである。

一方の日本語では、相手が自分より目上か同等か目下かによって言葉のニュアンスが変わってくることに加え、何といっても厄介なのは漢字・仮名の変換。
英語では綴りのミスがあったらご愛敬で済むが、漢字だとある程度のものはやはり変換せざるを得ない。
パソコン世代の我々たるもの、頭で考えて漢字を書くことが益々少なくなるなか、
「はて、この漢字ってこれで良いんだっけ?」
と手が止まることもしばしば。
もうひとつの問題としては、パソコンで提示される変換候補自体かなり大きくズレていることもある。先日など、「以心伝心」と書こうとして変換したところ、「ISIN電信」が第一候補として出てきてびっくりした。外資系企業の持っている日本語変換ソフトの限界なのかもしれないが・・・。

・・・というとまたぞろ今度は日本の言語批判のようにとられるかもしれないが、むしろ逆。膨大な量の漢字と仮名を組み合わせて成り立つ日本語という言語は、その組み合わせが織りなす独自の繊細さがある。
ひとつの言葉を幾ら長くしたところで、所詮26文字に集約されるアルファベットで成立している大概の欧米言語は、使い勝手という意味では日本語を遙かに超越する一方で、言語の深さという意味では日本語に遠く及ばないと思う。
今年は千年記念で話題を集める「源氏物語」を初めて通して読もうと思い立ち、最近鞄に持ち歩いて亀ペースで読み進んでいるのだが(当然ながら私が読んでいるのは瀬戸内寂聴さんによる現代語訳。高校時代を日本で過ごしていない私には古文の能力は皆無に等しい。)、随所に登場する和歌を眺めるにつけても日本語の美しさに改めて感動する。

・・・といっても、仕事はやはりスピード命。
日本人の同僚のメールに対しても8-9割方英語で返信しているので、客観的にみるとおそらく相当イヤなヤツなのだろうが、そんな背景があることをご理解頂ければ・・・と思う。
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by canary-london | 2008-05-03 11:44 | culture