ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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かけがえのない友人達へ

本当ならあまりブログに書くような内容ではないが、今日はどうも普段のおちゃらけモードで文章を書く気分にはなれないことと、自分の気持ちの整理のためにやっぱり少しだけ書いておこうと思う。

今週のある日、会社で多数の人員整理が行われた。
平たく言えば、大量の解雇である。
私の働く投資銀行という業界ではこれは残念ながら珍しいことではなく、特に現在のような景気悪化一直線のご時世においては、特に米系の金融機関は大幅な人員削減を行っている模様。

このことについて書いているということは、私は幸いにしてその対象とはされなかったわけなのであるが、自分の感情をコントロールするのが難しい時期だ。
長らく一緒に仕事をし、信頼していた同僚が去っていく。

「整理」が行われた当日は、部署にもよるが、私の所属する部署では朝一番で、一人一人呼び出されていく。中には夕方まで引っ張っていたマネジメントもいたので、そこは私の上司について素晴らしいと思う部分。
この日が「X-DAY」であることは全員事前に知らされていたので、チーム全員を一日不安な気持ちで過ごさせる一部のマネジメントには賛同できない。

当然といえば当然ながら、その日はあまり仕事らしい仕事にならない。
私が現在就いている仕事の時流として、午前中アジアとの取引で忙殺される日々が続くのだが、この日は午前中に最低限の仕事を終え、同僚と共に昼食を取りに近くに出る。
日中はたまに入れられる客とのミーティングを除いてほぼデスクにべったりの仕事なので、お昼時に外出すること自体が珍しいのだが、この時ばかりはPinot Grigioのボトルに手が伸びてしまう(普段は勿論ランチに合わせて飲むことはない)。

そろそろ支払を済ませてオフィスに戻ろうかという頃、手元の携帯が鳴る。
電話に出ると、聞き慣れた声。
私がロンドンに来てからというもの、幾度となく一緒に仕事をしたMだった。
彼とは、トラブルで金曜日の夜11時頃になってやっと二人で火消しを終え、隣のパブで一杯飲んだこともあったっけ。
昨年、Managing Directorという最も上の階級に昇格した彼は、仕事の能力のみならず実に人格者で皆に一目置かれる存在だったが、収益機会を見出すのが難しい現状では、会社にとってはコストの高い労働力と映った。

「まだ飲んでいるなら、少し寄ってもいい?」
結局もう一人同じチームの同僚もjoinし、日も高いのに四人でワイングラスを傾けつつ取りとめのない話をした。

Mはニュージーランド出身で、長年のパートナーである同じくニュージーランド人の女性と共に、いずれにせよ向こう数年内にロンドンを脱出して、気候が良くのんびりした祖国に帰ろうと考えていたのではないか、と思う。
もちろん突然のことに本人も幾分動揺してはいたものの、悲愴感はかけらもない。
「おそらく自分がマネジメントだったら、同じことをするからね」
と落ち着き払って言う様も、彼の人柄を象徴している。

残される我々三人は、それぞれ様々な思いを抱きながら、彼に言う。
「投資銀行みたいな因果な商売から足を洗えるなんて、羨ましい。
’ライフスタイル・チェンジ’だよね。」

断っておくが、もちろんこういう状況で会社都合により解雇された人でも、同じ会社内で別の仕事を見つける人もいれば、同じ業界で他社に転職し大成功している人もいるので、解雇=「業界から足を洗う」ということになるケースの方が少ない。
でもMの場合は、年齢も40を過ぎ、母国でもう少しゆったりとしたペースの仕事をするのが本人の希望であるようにも思えるし、何より、我々三人共が、実は心から彼を羨ましいという気持ちも持っているのだ。

余談になるが、このような突然の解雇という状況において、私が個人的に最も悲しさを覚える部分は、去っていく同僚達の荷物の具合なのだ。
業界の性質上、解雇を言い渡されてから短時間で会社を去ることを余儀なくされる。
当然予見されたことではないので、皆とりあえず身の回り品をまとめ、ビニール袋に放り込んで帰途につくことになる。
これが大抵の場合は、スーパーマーケットのくたびれたビニール袋であることが多く、そんなビニール袋を手に去っていく友人達を見送るたび、何ともいえない物悲しい気持ちがこみ上げてしまうのだ。

Mに、そして多数の尊敬する友人達に、エールを送ろう。
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by canary-london | 2008-01-27 03:27 | diary