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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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蕎麦屋で一杯

先般、急な用事のため、非常に慌しい日程で東京を往復した。
日本に戻ると毎度毎度食べ物の話になってしまって恐縮だが(何しろ普段が極端に抑圧されているのだから仕方がない)、東京に戻った際、回数の限られる昼夜の食事のなかで、何とかして一度は時間を作ろうとするのが、「蕎麦屋で飲む」ということである。
「粋な大人の日本人」と思えるような人には、やはり蕎麦屋で飲むことを愛してやまない人がとても多いし(杉浦日向子さんの「そば屋で憩う」がバイブル?)、食通好みの雑誌などでは「そば特集」は定番中の定番である。
日本で愛読していた「dancyu」のような雑誌、ロンドンで同様の試みをしたところで、絶対に売れないんだろうな。

今回は、日曜日の昼間、両親と共に麻布十番のとある贔屓の店に出掛けた。
偶然商店街のお祭りをやっており、いつも混みあう店内もさらに人が多くて活気づいている。
三人で小上がりに上がり込み、ビールに定番おつまみを並べて、最後はせいろでしめるお決まりのパターン。

なぜ人は蕎麦屋へ通うのだろうか。

まずは、言うまでもないことだけれど、「美味しい」から。
シメのそばは勿論のこと、蕎麦屋のつまみは実に美味しい。
いずれもシンプルながらお酒との相性が抜群という、酒飲みにはたまらないメニューばかりなのである。この店の卵焼きなんて、もう絶品なのだ。
(断っておくが、この日は昼間でもありビールに終始。これが夜だとついつい日本酒に手が伸び、長居してしまっていけない。)

もうひとつ、蕎麦屋の雰囲気がたまらなく好き。
我々のように座敷に上がって談笑するもよし。
一方、一人でさっさと(しかも美味しい)食事を済ませたいときにも、蕎麦屋は強い味方だ。
世の中のおじいちゃん・おばあちゃんが一人で気兼ねなく入って食事を済ませられるところとしても、蕎麦屋という業態には最もニーズが高いのではないだろうか(つまり少子高齢化の日本において力強いビジネスモデルだ・笑)。

蕎麦屋で一杯_f0023268_4183711.jpg
そんな様々な客のニーズがあるため、会話に関してなんらの決まりごともない。
「決まりごと」というとやや大げさだが、例えばフレンチ・レストランでは、「ゆっくりと会話を楽しんで下さい」という意味を込め、前菜・メイン・デザート・・と各々がゆったりとした間隔で運ばれてくる。
皆がそうというわけではないけれど、これ、慣れていない日本人にとっては結構辛かったりする(話題の乏しい人には尚更)。
もちろん、日本人としては蕎麦屋へ行くのとフレンチ・レストランへ行くのでは、TPOも違えば服装も(相手も?)違うのだろうから、単純に比較はできないけれど、とにかく、「急いで食事をしたい人」と「ゆっくり食事を楽しみたい人」の両方が混在する蕎麦屋で飲みながらゆっくり会話を楽しむのは、実に心地良いのだ。

・・・といいながら、父との会話は概ね日本のワーク・カルチャーへの批判。
日本でしか味わえない贅沢な環境でそばをすすりつつ、日本批判に終始するのは如何なものか・・・と帰り道には反省半分、我が国ニッポンに対する不甲斐ない気持ちが半分。

この次に蕎麦屋ののれんをくぐるのはいつになるのだろうか?
by canary-london | 2007-09-20 04:19 | gourmet