ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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「どこででもものを食べる」に関する考察

前回「食」について書いていたら、旅行記とも何となく絡めて以前から漠然と書こうと考えていた小ネタについて思い出した。
英国でも食に対する「awareness」が高まってきたのは前回書いたとおりなのだが、それでもやはり国際的な比較においては、平均的イギリス人の食に対するこだわりの低さというのは先進国の中で群を抜く(と思う)。

その一つの表れだと兼ねてから私が感じているのが、「どこででもものを食べる」ということ。
道端でバナナやチョコレートバーをパクついている程度なら、「あー、相当お腹減ってるんだろうなあ・・・」で済むが、英国人の「道端食生活」は留まるところを知らない。

スーパーの出口では、買ったばかりの三角パックに入ったサンドイッチをバリバリと開けておもむろに食べ始める。
バス停に行けば、立ったまま出来合いのサラダを頬張る輩も。

この傾向は老若男女にはあまり関係がない。
日本だったら、「若いオナゴがはしたない・・・」的なコメントの一つや二つ聞こえてきそうだが、こちらの若き乙女達は一向に構う様子もなく、いつでもどこでも、パクパク、ムシャムシャ。
それが「ちょっと小腹が減った」という雰囲気で食べているのではなく、十分食事になりそうなものを食べているから不思議。
・・・彼らはつまり、それが昼食なのか何食なのかは良く分からないが、一食の「食事」をそんな適当な立ち食いで済ませてしまうのである。

ここで思い出すのは、女優・エッセイストで且つ料理の名手でもあった沢村貞子さんのお言葉。
母が愛用していた沢村さんの「わたしの台所」や「わたしの献立日記」のレシピの一部は今の私にも引き継がれているが、沢村さんの食へのこだわりというのは、次の台詞に如実に表れている。出所をはっきり覚えていないので一言一句正確ではないと思うが、要はこんな内容だったように思う:
「一日三食しかない食事の中で一食でも不味いものを食べると実に"もったいない"と思う。」
・・・この感覚、A級からC級まで全てのグルメが揃う東京に慣れ親しんでいる日本人には非常に良く分かる。
そして、その貴重な「一食」を地下鉄のホームで二分程度で済ませてしまう英国人には、この感覚は分かる筈もないのだ。

一方、欧州大陸を旅行すると、「どこででもものを食べる」という状況自体は良く似ている(国にもよるが)。

食いしん坊国民の代表格としてフランス人とイタリア人を挙げると(断っておくが誉め言葉だ)、公園の隅ではクレープをムシャムシャ、ベンチではパニーニをパクパク・・・と一見同じような構図。
けれど私は二つの間には本質的に差があると思っている。
フランス人やイタリア人の行動が、「美味しいものは食べたいけれど、家に帰るまで我慢できないので今食べちゃえ!」という衝動に突き動かされている(失礼!)一方、イギリス人のそれは、本当に食にこだわりがないがための「ながら食」なのだ。

そういえば、高校生時代にロンドンで見かけた中でもっとも凄かった「ながら食」は、朝のラッシュアワー(といってもこちらでの混雑は可愛いものだが)、地下鉄の四人向かい合う座席に座り、おもむろにマクドナルドのホットケーキ・ブレックファストをフォークとナイフでエレガントに食べ始めた見知らぬ英国紳士である。
その出で立ちが山高帽にモーニングのようなフォーマルな黒ずくめにステッキだったため、あまりに異様な取り合わせに紳士に見とれることしばし。
この例は極端だが、とにかく「ながら食」との遭遇率が高い街なのだ。

・・・と書いたところで、ふと冷静に自分の平日の食生活を振り返ると、朝食も昼食も血走った眼でコンピューターの画面を見つめながらのデスク食。
最ももったいない「ながら食」をしているのは実は自分ではないか!?と気づいてやや暗い気分になってしまった。
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by canary-london | 2007-08-04 02:37 | gourmet