人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

インベストメントバンクと大陸のmulti-nationalism

先日大陸へ出張する機会があった。
残念ながら朝4時起きの日帰り出張・正味滞在時間6時間程度の文字通りのとんぼ返りだったのだが、二つほど改めて感じたこと。

1. 人材の豊富さ。人と人との関係は結局個人レベルでのコミュニケーション能力によるのだなあ。
私は4時起きで駆け付けたにも拘らず、前夜のディナーでイベントの火蓋は既に切って落とされていたため私は遅刻してそっと参加。会議の参加者は、NY・ロンドンをはじめ世界の主要拠点から集まったManaging Directorを中心とするエリート達。筋違いもいいところなのだが、私はそんな場に今はロンドンに拠点を置く唯一のアジア人として(しかもおそらくは一番若い部類であったと思う)参加してしまった。

グローバルなインベストメントバンクでは、その人材の豊かさに改めて驚かされる。

今回少し書こうと思うのは、一年半ぶりに再会したNYで債券引受部門を統括する若きMD、Tのこと。
引受の前はシンジケート・マネージャーで、その更に前はセカンダリーのトレーダーを務めていた彼は、「口から先に生まれてきた」を地でいっているようなキャラクター。
ああ言えばこう言う。
絶対ディベートしたくない相手。
インベストメントバンクと大陸のmulti-nationalism_f0023268_1091450.jpg
でも、彼が人望を集める本当の理由が今回分かったような気がした。
一年半前というのは、彼が来日したときに日本のお客を一緒に訪問などしたかだか数日程度共に過ごしただけなので、彼の人間性を理解できる十分な時間もなかったのだけれど。

口から先に生まれてきたような人なのに、同時に恐ろしく聞き上手でもあるのだ。
話している相手の顔をしっかり見つめるその表情の真剣なこと。
だからこそ次に彼が(間髪入れず)口を開くときに相手の注意をも引けるのだな、と思った。


2. ヨーロッパのmulti-culturalism/multi-nationalism
上記のTはアメリカ人だが、ヨーロッパで仕事をするにつけ、改めて真なるmulti-culturalな側面に驚かされる。
ロンドンの巨大なオフィスで仕事をすると、「フランス・デスク」、「イタリア・デスク」、「ドイツ/オーストリア・デスク」、その他延々と殆ど国毎にデスクがありマルチな言語が頭上を飛び交う。
もちろん、フランス人はフランス人がフランス語でカバーした方がビジネスも取れるってものだ、という単純且つ正しい発想からきている。

インベストメントバンクと大陸のmulti-nationalism_f0023268_107621.jpg
Multi-culturalというか、正確に言うとこれはmulti-nationalということ。
ヨーロッパでは元来が現在の国境は便宜的なものでしかない。
私はロンドンで過ごした高校時代の親友がオランダ人だったのだが、「オランダではオランダ語・英語・ドイツ語・フランス語の4カ国語が話せないと警察官になれないんだよ」と聞いて驚愕したことを今でも覚えている。
これに比べると、「人種のるつぼ」などといわれる米国のmulti-culturalismというのはやや井の中の蛙的な部分がある。
所詮ジョージ・W・ブッシュはアメリカ礼賛・テキサス礼賛なのだ。

今回も丸テーブルを囲むカジュアルなディスカッション形式だったのだが、イギリス人のAが市場規模は小さいスイス市場を管轄するフランス人Jに向かって、「所詮Jのマーケットは$200MIL(2億ドル)程度のopportunisticな起債しか出来ない市場だもんな。Jの発言権はUSD1BIL(10億ドル)の起債が出来るようになるまでお預けにするか」と揶揄すれば、Jは自分の書類を机一杯に広げる隣人Aに対して、「これだから昔から領土拡大志向のイギリス人は・・・」と逆襲。こんな周囲からみるとコミカル以外の何物でもないやり取りをしている二人だが、厚い信頼関係で結ばれているのだ。

愛すべきヨーロッパ人たち。
これだからロンドンでの仕事と人間観察はやめられないのだな。
by canary-london | 2006-01-24 10:10 | business