ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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コンサート報告その3: 内田光子&モーツァルト三昧の幸せ

今年3回目となるコンサートは、またもBarbicanにて(一回目二回目はこちら)。

昨年の短期滞在中にはSouth Bank Centreの一部を成すRoyal Festival Hallにも頻繁に足を運んだのだが、音響や座席など全般的にBarbicanの方がクラシック音楽を聴く環境としては快適なので、Barbicanに一度行ってからはBarbican贔屓になってしまった(このような点も含めて、今正にRFHは同ホールのみならずSBC全体の改装に尽力している)。
ちなみに話は逸れるが、ロンドンでのconcert venueという意味では、もうひとつ忘れてならないのは毎年夏のBBC Promsの舞台となるRoyal Albert Hallである。
故ダイアナ妃追悼として2000年にオープンした子供用playgroundを擁するKensington Gardensの真向かいに位置する同ホールは、ロケーションという観点からは他の二つにはなく自ずとhighly-sophisticatedなオーディエンスを集める魅力をもっている。
RAHも昨年のProms以来しばらくご無沙汰してしまったのだが、今久しぶりにサイトを覗いたら再来週末はTchaikovsky, Prokofiev & Shotakovichなんて魅力的な催しがあるではないか。
行っちゃおうかな。
これが一人暮らしの気ままさです。

話は戻って、内田光子氏である。
昨年、上記のRFHで同ホールを拠点に活動するPhilharmoniaオーケストラ・Sir Charles MacKerras氏指揮でオケとのコラボレーションは見る機会があったけれど、今回は完全なるピアノ・ソロ。
演目は以下の通り、生誕250周年でもありMozart三昧:
Fantasy in C minor K475
Sonata in C minor K457
Adagio in B minor K540
Sonata in F K533/K494
Sonata in D K576

以前も書いた通り、私はクラシックの専門家ではなくオーディエンスに徹しているので技術的なことは分からないし言及するつもりもない。

でも内田光子さんの演奏するMozartは、とにかくソウルフルである。
「日本人の誇り」なんてフレーズは陳腐だし、幼少の頃からヨーロッパで過ごし英国人外交官Robert Cooperと長年のパートナー関係を保つ彼女はむしろ「日本人」という枠組みを逸脱しているとは思う。が、昨年RFHで彼女の演奏を初めてCDではなく生で聴いたときには、本当に同じ「日本人として誇らしい」という4年に一度のオリンピックで感じるときのようなえもいわれぬ陳腐さを孕んだ素朴・純粋なる思いを胸に抱いた。

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1. とにかく、深い深いお辞儀をする方である。
演奏の前も後も、聴衆が恐縮するぐらい、華奢な体を180度近く折り曲げて一礼をする。
それは、聴衆と同時にピアノに対してしているのかもしれないし、彼女が「逃げ水のようで掴みどころがない。シューベルトの方がよっぽど共感できるし分かり易いわ。」と笑うモーツァルトに対してなのかもしれない。

2. 2008年には還暦という年齢を全くじさせない精力的な演奏活動をする世界屈指のピアニストながら、近寄り難さや勿体ぶった感じを本当に全く感じさせない。
今回はソロだったが、前回のRFHのときには自分の出番が終わるとベストとジーンズという軽装に身を包んでRFHの観客席にjoinし、一般客に混じってオーケストラの残りの演奏を楽しんでおられた。

服装は、Issey MiyakeのPleats Pleaseだろうか。
彼女のイメージぴったりの、天使の羽衣のようなふわっとした装い。
「妖精のような」という形容詞が、しっくり来る。

3. Barbican万歳。またもコンサート終了後のサイン会なんぞに駆け付けてしまった。
ミーハー精神丸出しで1月末のRCOコンサート時にヤンソンスのサインをもらったことは第一回コンサート報告にてお伝えしたとおりだが、今回も内田光子さん残ってサイン頂けるとのアナウンス。
図々しくもCDと本日のパンフレットの2箇所にサインして頂いてしまった。
ステージで見る内田さんは本当に若々しくパワフルなのだが、近くで見るとやはり髪に白いものが混じる。だけれど、一人一人と言葉を交わし、求められれば写真にも応じる気さくさ。
「燃え尽きてしまわないよう、そして自分が常に新しいものを吸収できるように」とコンサートは年間50回までと自分に制約を課す彼女。
とにかく末永くご活躍を祈るばかりである。

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しかし、残念ながら今回も落胆を隠せなかったのは、ロンドンの聴衆の音に対する鈍感さ。
いや、別に咳はきっと抑えられない生理現象なのだと思うのだが、それにしても演奏中に大ボリュームで咳する人多過ぎです。
日本の聴衆の、少しでも音を立てたら犯罪者的な反応もやや過剰かもしれないが(チケットの高さを考えたら仕方ないかも)、もうちょっと周囲に配慮してくれんかねといつもながらに思う。

でも、今回は少なくとも素晴らしいと感じる演奏に対して臆することなくスタンディング・オベーションを贈ることが出来たので、自分としては満足。



人生を豊かにする素敵な音楽、万歳。
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by canary-london | 2006-04-09 21:26 | music