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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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イギリス人と食・パートX??

前回もスペイン旅行記を書こうと思いながらスタートしたのに、またしても結局「いかにイギリス人が食に無頓着か」について熱く語って終わってしまった。
・・・それにしても、「イギリス人と食」について書き始めると、ノンストップになってしまう。

「どこででもものを食べるイギリス人」は昨今のカナリーウォーフでも、オリジナルの記事を書いた2年前と変わらない勢いで生息している。
夏至の時期に比べるとかなり日が短くなったとはいえ、日中太陽の覗く日は気温も適度に上がり湿度も低いために実に快適な7-8月のロンドン(ちなみに昨年久し振りに8月初めに東京に数日間だけ一時帰国したのだが、「この暑さでは人格が歪むのも無理はない」と真剣に感じた)。
そんなお天気の良い日は、お昼時ともなると、会社の目の前にある広場中心に据えられた噴水の周りは、テイク・アウェイのランチを抱えて、食事と日光浴を兼ねる若者が圧倒的に増える。
この心理には実に共感。
自分もデスクべったりの仕事でなければ、近所で買ったサンドイッチやサラダを噴水の傍らで広げたい、と思う。・・・が、余程静かな金曜日でもない限り、そんな彼らを羨望の眼差しで見ながらいそいそとデスクに戻り、相場を見てディールをこなし、メールを書きながら無機質な一日二食目を終えるのが現実。

一方で理解に苦しむのは、こんな良い時期であるにも拘らず、ショッピングモールの地下通路にところどころ設置されたベンチで、同じようなテイク・アウェイをもそもそと頬張る輩。
行き交う人のごった返す雰囲気と話し声、自分の食事をいちいち覗き込まれる不快感、そして舞い上がる埃を考えると、悪いけれど狭いながらも「自分の空間」であるデスクで食べている自分の方がまだいいのでは、などと思ったりする。

ときに、私は雑誌では英エコノミスト誌と米タイム誌を愛読している。
「統計学」というものがいかに胡散臭くいい加減なものかというのはそれだけで二度でも三度でもトピックになってしまうようなお題だけれど、エコノミストやタイムが向学のためにもまた庶民の野次馬精神からしても面白いと思う部分の一つは、時事ネタと絡めた都合の良い統計学を引き合いに出して、それなりに読み応えのある記事にしてしまうところ。

「食にこだわらない英国人」の対極として、むしろ食にこだわり過ぎて笑い草とされるステレオタイプの国民はヨーロッパでは間違いなくフランス人なのだろうが、何気なくクレジット・クランチ全盛の今年2月のエコノミスト誌の記事を引っ張り出して読んでいたら、思わず笑みがこぼれてしまった。

・・・曰く、未曾有の不景気(2008年はレストラン・カフェの倒産が前年対比26%増加したとのこと)、そして公共の場における喫煙に対する取締強化を受け、従来型の「昼食は意地でもデスクで食べるのではなく外へ出掛ける」フランス人が劇的に減っているとのこと。オフィスから出て、近くのカフェやブラッセリーで’Plat du Jour’(「日替わり定食」が適訳だろうか?)を頼む人は、20代から30代前半の若い世代では減少が著しく、代わりに台頭してきているのが「サンドイッチ」文化。2008年のフランスにおけるサンドイッチ消費量は13億個と2007年を5,000万個上回ったなんてデータ、一見説得力があるようだが数値として信頼できるのだろうか??
記事から6か月が経過し、目先的にしても景気回復を示す兆候が世界のそこかしこで見られるなか、フランス人は再びブラッセリーで「本日の一皿」を優雅に楽しむようになっているのだろうか。是非とも継続的なデータをとってもらいたいものだ。
イギリス人と食・パートX??_f0023268_9102422.jpg

フランス人を揶揄したデータついでにもうひとつ引用すると、今年5月18日号のタイム誌
OECDの実施した国別の生活・健康に関するデータによれば、先進国の中で一日・24時間の中でもっとも食べることに時間を割くのはフランス人で、平均して一日の2時間半程度を食事に充てる。これは、米国人やメキシコ人の倍以上に当たるが、より食べることに時間を使わない、且つワークアウト・フリークでもある米国人の肥満度の高さは前回書いたとおり。食へのこだわりと肥満は反比例の関係にあるのだ。
OECDのこの研究、食に留まらず多岐にわたる項目についてのリサーチが行われていて感心するが、フランス人は、1日の平均睡眠時間においても先進国の中で栄えあるトップを獲得。1日平均8.8時間の睡眠時間は、7.8-7.9時間程度と先進国最下位の韓国や日本を大きく上回る。週35時間の上限を課された労働時間といい、仕事では手を抜き(失礼!)、食を愛し恋に生きるフランス人は何と幸せなんだろう・・・と羨ましさを覚えずにいられない結果の数々なのだ。

とはいえ、統計学には限界がある。
私自身親しいフランス人は多数いるが、日々昼食はデスクでサンドイッチを齧り、睡眠は平均して5-6時間程度と平均的フランス人に比べてアンハッピー極まりない人も多数。
・・・これは国民云々以前に、投資銀行という業界の持つ特質なのだろうか。
by canary-london | 2009-08-11 09:13 | gourmet