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ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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Globe-trottingは続く: 香港出張旅のメモ

5月は、いつにも増して執筆ペースが鈍ってしまった。
というのも、最近globe-trotterぶりが加速していることに依るところが大きいかもしれない。アウシュビッツの旅行記なんぞを書いていたのはいつぞやの話、今は香港のホテルで缶ビールを開けながら久々に自分のブログを眺めた次第。
突如香港に来ることになったのは、ビジネスマンとしてはそんなに珍しい理由ではない。香港で私と同じような仕事をする同僚が前触れもなく長期休暇に入ってしまったため、先週はNYから同じチームの若い女性が彼の代打として急遽出張したのに続き、今週は私にお鉢がまわってきたというわけ。

・・・そんなわけで香港。
最後に出張で訪れたのは10年ほど前だろうか。
何しろ久し振りでもあるし、とりあえずは雑感。

*気候と天気
飛行機のタラップを降り立った途端に、ムッとくる熱気。
今の時期、気温自体は摂氏28-30度と狂ったほど暑いことはないのだが、蒸し暑いアジアの夏から3シーズンも離れた緊張感のない身体を、皮膚への衝撃(涼しく湿気の少ないところに長くいると気泡が閉じてしまうらしい)と何とも言えない不快感の両方が同時に襲ってくる。
不運なことに、天気も悪い。
空気中の水分が教科書通りに雨粒となって降ってくるだけでなく、横風も容赦なく吹きつけるので、傘を持つ意味すらない。

私が到着した水曜日のほんの一日、二日前までは晴天続きだったらしいのだが、マーフィーの法則とはこんなものだろうか。
香港随一の屋外プールがあるホテルを選び、ロンドンでは不足しがちな日光浴でもしようと勇んで水着も持参したのに、水着もサングラスもすっかり箪笥のこやしと化している。

*Skyscrapers(高層ビル)と街としての憩い
雑然と立ち並ぶ無数の高層ビルと、それらを灯すネオンに彩られて24時間眠らない街。
香港は東京と比べると余程規模が小さいものの、「夜の眠らなさ」でいえば似た部分があり、さしずめ東京の銀座か新宿だけを切り抜いてクローズアップしたようなイメージだろうか。
ロンドンにもヨーロッパの各都市にももちろん夜の繁華街というのはあって、街の「眠らない」部分はあるのに、こうも印象が違うのは、建物の新旧ひとつで趣が全然異なることの表れなのだろう。

いきおい、街としての「憩い」や「癒し」は少ない。
出退社時に乗り慣れつつある高速エレベーターは、臨時のアートギャラリーがしつらえられた3階から、弊社オフィスのある45階まで瞬時にして音もなく連れていってくれるのだが、新しいビルの新しい設備の中にばかりいると、何だか落ち着かない。これも、ロンドンっ子の「古いものは良いものだ」的感覚が沁みついてきたからなのだろうか。
Globe-trottingは続く: 香港出張旅のメモ_f0023268_1255361.jpg












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*コンパクトさと効率性
香港にいると、全てが近い。
狭い半径の中にたくさんの人が押し込まれ、建物はニョキニョキと上へばかり伸びるため、地上の移動は徒歩でも車でもらーくらく、なのだ。
Mid-levels Escalatorなんて、誰が考えたのかしらないけど偉大な発明。
高台にある居住地と、港に近い低地のオフィス街を結ぶ屋外の(屋根は付いている)エスカレーター、というか徒歩で進むコンベイヤーベルトなのだが、800メートルという長さは世界でもほかに例を見ないらしい。朝10:20までは出勤する人のために下りの一方通行、以降は上りへと変わって一日動き続ける。
地下鉄も便利だが、香港の地元民はタクシーを気軽に使う。それだけ移動が早く、また他の都市に比べて安価。通勤はタクシーという人も意外に多い。

血筋的に東洋人の顔をしているものの、生まれも育ちもロンドンという同僚で6年前にロンドンから香港へ転勤してきたCに言わせると、この便利さと効率性をひとたび味わうと、ロンドンになんかとても戻れないのだそうだ。
なるほど納得。

*人と言語
上述のCなども、顔は東洋人なのに北京語も広東語も一言も解さないため、それはそれで違和感がある。が、普段ロンドンで生活し、自分と全く違う姿かたちをした道行く人達が自分の言葉である日本語を理解しないのに慣れている自分としては、目鼻立ちは互いにとても似ているのに互いの言語を全く理解できない状況に、新鮮な感覚とやるせなさを同時に感じる。大きな声では言えないが、大学時代は現代中国政治専攻だったのだけれど。何で外国語のひとつも真面目に勉強しなかったのだろう。

香港の公用語は広東語。周囲を歩く人のほぼ9割が広東語を話していると言っていい。
言語による特質の違いというのも、ヨーロッパの言語については分類が日常化してしまった感があるが、アジアに来ると感覚を新たにさせられる。広東語は、良くいえば元気・快活、悪くいえば攻撃的な印象で、普通の会話を傍で聞くと口論に聞こえることもある。

*とはいえ、やっぱり近いニッポン
・・・そうはいっても、何かにつけて強く感じたのは、香港が色々な意味でいかに日本に近いかということ。こういう事は、得てして非常にくだらない場面で感じるのだが、今回の私の場合も例外ではない。これについては次節。
by canary-london | 2009-05-26 01:28 | travel