ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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気ままな映画論

先々週の週末は、ロンドンをはじめ多くのヨーロッパ諸国でキリストの復活を祝うイースター(復活祭)となり、当地ロンドンも四連休となった。これだけのlong-weekendともなると、貧乏性の自分としては旅行に出掛けるのが通常のイースターの過ごし方なのだが、今年は家で整理したいことも溜まっており、趣向を変えてロンドンで過ごすことにした。

普段読めない書物、気候が良くなってきたというのにあまり定期的に出掛けないジョギング、そして普段片づけられない家の雑務や狭い庭の手入れ。
ピアノを思う存分弾くこと。
忙しいときにはなかなか出来ない少し手の込んだお料理(イースターは手打ちパスタに挑戦してみた。結果は使用した粉のせいか予想以上に粉っぽくなってしまい、100点満点だと自分の評価では55点程度だろうか。)。
家のことを片づけていると、四日間なんて実はあっと言う間に過ぎてしまう。

そんな四日間の中で、先月日本に一時帰国した際に買い求めた映画を幾つか観た。
昨今DVDも安くなったもので、ふと通りがかった本屋に「ワンコインDVD」なるものが陳列してある。
ワンコイン=つまり一枚500円で買える。
映画館とは音響もセッティングもすべて異なる自宅での映画鑑賞に500円掛けることを「贅沢」と否定する人も少なからずいるのだろうとは思う。
私にとってみれば、好きな時に、好きな人と、好きな体勢で、好きな物を飲み食いしながら好きな映画を観られるなんてこの上ない幸せ。
映画館に行くよりも多く払っても良いぐらいだ。

ワンコインで買い求めた映画は、アメリカ・フランス・日本の物など雑多(ちなみに、一枚1000円と他より高い価格設定のものもある)。

「ローマの休日」。
これまでの人生で一体何度観たのだろうか。
今まで自宅になかったことが不思議なぐらい。
50年以上経った今も、少しも古いと感じないヘプバーンの高貴な魅力。
気づけばバスケットに入れていた。

「カサブランカ」。
これまた、ハリウッド映画の黄金時代の代表作で幾度となく観ている。
そのたびに涙してしまうのだから、我ながら単純にできているらしい。
いつの時代に観ても色褪せないハンフリー・ボガートとイングリット・バーグマンの美しさ。
言わずと知れた名セリフ、‘Here’s looking at you, kid’。
「君の瞳に乾杯」の訳をつけた高瀬鎮夫氏のセンスにはただただ脱帽する。

「天井桟敷の人々」。
「カサブランカ」とほぼ同年代の制作ながら、この当時からフランス映画は喜怒哀楽の単純明快な米国映画と対極にあるのだと感じたのは、早稲田大学に程近い場所にあるミニシアターで初めて観た19歳の頃だっただろうか。

そして、日本代表選手は小津安二郎監督の「晩春」と「お茶漬けの味」の二品。

一見ばらばらの5本なのだが、共通点があるとすれば制作年代だろうか。
この中ではもっとも古い「カサブランカ」(1942年)から、もっとも新しい「ローマの休日」(1953年)までの11年のスパンに5本のすべてが凝縮されている(「天井桟敷の人々」:1944年、「晩春」:1949年、「お茶漬けの味」:1952年)。

そうして改めて考えてみると、自分の好きな映画は邦画・洋画を問わず、1950年前後のものに集中しているように思う。
黒澤明監督の「七人の侍」も1954年の作品。

その理由について漠然と考えてみると、思い当たることは二つ。

一つは、月並みな表現だけれど「良い時代」だった、ということに尽きる。
希望に満ちた時代。
もちろん、第二次大戦下の「カサブランカ」と「天井桟敷の人々」について「希望に満ちた時代」ということには反対意見もあると思うが、今日よりも明日、今年よりも来年の方がきっと素晴らしいのだろうと思えた時代。
きっといつの時代に生きても人はないものねだりをするのだろうけれど。

もう一つは、両親の影響だろう。
よりリアルタイムで身近に感じられる1970年代以降の映画も、はたまた自分で魅力を発見したと自負している1930年前後のドイツ映画にも思い入れは強いが、三つ子の魂百までとはよく言ったもの。
子供の頃に両親と肩を並べてテレビで観た映画の印象の強さは、そうやすやすと他のもので上書きされるものではない。

・・・実は今回は、久し振りに観て魅力を再発見した小津映画について書こうと思っていたのだが、寄り道をするうち紙面が尽きてしまった。
ということで、小津映画についてはまた次回。
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by canary-london | 2009-04-30 08:00 | cravings