ロンドン生活開始から4年強経過。あこがれの田舎暮らしも敢行!このまま骨を埋める展開か??インベストメントバンカー日々迷走中。


by canary-london
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車の故障に思うこと

少し前のことになるが、愛車のトヨタカローラが動かなくなってしまった。
「仮にもインベストメントバンカーなんだから、もうちょっとマトモな車に乗りなよ」と同業界の友人や同僚には何度言われたことか分からないが、私にとっては車は贅沢品ではなくアシなので、2年半ほど前に日本に本帰国される駐在員の方から「帰国売り」で安く譲って頂いた5年落ちのカローラに十分満足している。
一昨年から住んでいる今の家は地下駐車場のあるフラット(マンション)ではなく、許可されたエリアの中で適当に空いたスペースを見つけて路上駐車するシステムなので、高級車でないというのは盗難面においてもメリットがある(それでも目ざとい輩はいるもので、昨年は車から物を盗まれたけれど)。

そもそも、車というものに興味がない。f0023268_555164.jpg
学生時代にとある先生から、こんな小噺を聞いたことがある。
街中を快走する旧型のフォルクスワーゲン・ビートル。
運転席には若い女性。
ビートルは、信号待ちでエンストしてしまう。
女性はおもむろに運転席から出て、ボンネットを開ける。
すると、エンジンがない。
「大変!私、どこかにエンジンを落としてきちゃったみたい。」
もちろん、旧型のビートルは、エンジンは車の後に搭載しているので、ボンネットを開けてもエンジンがないのは当たり前なのだ。
この心温まる逸話のメッセージは、現代社会においては車がここまで大衆に普及し、エンジンのことなど何も分からないドライバーでも何不自由なく運転することが出来るようになったというもの。

翻ってみると、自分もこのドライバーの女性と何ら変わらない。
車のことは何も分からないし、分かろうという気持ちもない。
故障せず効率的に走るという任務さえ遂行してくれれば、何の文句もない。
この「故障せず」という部分が非常に重要なので(面倒臭がりなので、修理工をよんだりするのがとても億劫なのだ)、迷うことなく故障する確率が低く燃費の良い日本車を選んだ。

「故障しないハズ」の日本車なのに、運転席に乗り込みイグニッション・キーを差し込んでも何の反応もない。
・・・あれ??
寒さ続きでエンジンがイカれてしまったのなら、しばらく放置すれば治るかも・・・などと淡い期待を抱くが、そんな雰囲気もない。
これも、振り返ると自分のせいなのだろうと思う。そういえば、半ドアのサインがここしばらく点いていたような気がする。
車のことは分からないけれど、外傷もないしほかに目立った観測可能な障害がないことを考えると、おそらくはバッテリーが上がってしまったのだろう。

車が動かないという事実を目の当たりにすると、今度は修理の手配をしなければならない。元来の面倒臭がりの性格に加えて、イギリスのサービスの質、そして自分自身が月―金の朝早くから夜遅くまで仕事をしているサイクルを考えると、一体いつ修理に来てもらえるものやら・・・と思うだけで気が滅入ってしまう。
困ってこちらで親しくして頂いている車好きの日本人の某S氏に相談したところ、主として日本人を対象に英国で自動車の販売・修理・メンテナンス等を行っている会社を紹介してもらった。
日系ながら独自のウェブサイトも持たず、日系のフリーペーパーにも宣伝も出さないような硬派の営業スタイルに好感が持てる。
S氏が先に紹介の電話を入れて下さったこともあって、初めて連絡したにも拘らず全てが非常にスムーズ。ロンドンでも異例の寒波が襲った一月のある土曜日、寒空の下でバッテリー交換の作業に来てくれただけでなく、平日留守中に車の送迎付という至れり尽くせりのサービスのついたMOT(車検)も驚くほどの安価で請け負ってくれた。

S氏とその話をしていたところ、S氏からは以下のような反応。
「確かにこんなサービス、ロンドンどころか世界でも日本人にしかできないと思います。‘儲けよりも信頼’‘総合的な取引’‘お客様は神様です’・・・」
「これこそ、日本が世界に誇るべきサービス魂なんでしょうね。でも儲かりませんが。。。」
・・・まったくもって同感。

自分と同じ金融業界という、サービス業の最たる業界に身を置くS氏の言葉が身に沁みた。
日本人でサービス業に従事する人のこんな自己犠牲的なメンタリティーは、世界でも類を見ない。と思う。
こんなちっぽけなことでも、サービスを享受する側にとっては最悪の国・イギリスと、サービスを提供する側としては最悪だけれど享受する立場としては文句なしの日本というお国柄の違いが垣間見えた。
別に今回は殊更に英国のサービスの悪さを批判しようとしているのではなく、国民性によって皆が「得意なこと」に特化して効率性をアップさせる社会が出来ればいいのに、などと現実的には不可能な理想を抱いてしまった。
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by canary-london | 2009-02-23 05:56 | culture